「NHK一強体制」へ強まる懸念

もし、民放界のパワーが衰えるようなことになれば、懸念されるのが世界の放送界では例を見ない日本独特の「公民二元体制」の行方だ。

国民が支払う受信料を財務基盤とする公共放送のNHKと広告費で成り立つ民放の共存が日本の放送文化を形づくってきたが、その仕組みが根底から崩れて「NHK一強」体制に移りかねない。

NHKは、公共放送として「自主自立」を掲げ「不偏不党の立場を守り、何人からも干渉されない」とうたっているが、かねてから国営放送と見まがうような政権寄りの姿勢を批判されてきた。政権の意向を汲んだり忖度するようなNHKを「公平公正な報道機関」と呼ぶのは心苦しい。

毎日新聞の6月28日付け報道でも、専務理事の人事をめぐって政府のゴリ押しを受け入れた疑惑が浮上したばかり。

健全な放送界の発展のためにも、ここは民放界の踏ん張りどころだ。

TVのリモコン
写真=iStock.com/EzumeImages
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東京オリパラ頼みの広告収入……

放送界では、ネットやSNSの浸透とともに「テレビ離れ」はある程度覚悟していたものの、まさかこんなにも早く若者世代の視聴者が半分になるとは予想もしていなかったのではないだろうか。

フェイスブックやツィッターを使ったことのないシニア世代が経営の実権を握り、成功体験にとらわれている限り、メディア環境の急激な変化についていくことは容易ではない。時代の波を乗り切れないのだ。

視聴者のメディアライフや広告主の意識の変化をきちんと掌握し、的確に対処しなければ、あっという間に脇役に追いやられかねない。

民放キー局は、東京オリンピック・パラリンピックによる広告収入が持ち直すと見込み、2021年度決算ではTBSを除く4社が最終増益を予想しているが、はたしてどうなるか。

まして、2年後、3年後となれば、視聴者のメディアライフがテレビにとどまっているかどうかは予断を許さない。

5年後の「国民生活時間調査2025」は、見るのも怖いということになりかねない。

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