ひとり暮らしで在宅死を迎えるにはどうすればいいのか。在宅医療専門医の中村明澄さんは「介護保険サービスを利用すれば、独身でも在宅死を迎えることは十分にできる」という――。

※本稿は、中村明澄『「在宅死」という選択』(大和書房)の一部を再編集したものです。

和室に敷かれた布団
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今の日本の医療保険と介護保険は、基本的によい制度

ひとり暮らしだと自宅で最期を迎えるのは難しいと思われがちですが、ある程度の覚悟と周りの理解があれば、おひとりで最期まで自宅で過ごすことは可能です。

まず、ひとり暮らしといっても、ご家族が近くにいるのか、遠くにいるのか、あるいは天涯孤独なのかという違いがあります。また、物理的な距離だけでなく、ご家族との関係がどのような距離感かによっても、その可能性が変わってきます。

何より、ひとり暮らしのご本人がどんなに在宅死を希望していても、ご家族から却下されてしまうことがあります。やはり、「ひとりのときに何かあったら」と心配だからでしょう。また在宅医療や在宅ケアの実状を知らないがために、「自宅で大丈夫なの?」という不安もあるのだと思います。

けれども、誰も手伝うご家族がいないという場合でも、天涯孤独な方でも、自宅で最期を迎えることができます。

今の日本の医療保険と介護保険の制度は、問題点を指摘されることもありますが、基本的によい制度だと私は思います。在宅医療を受け、介護保険サービスを上手に利用することで、ひとり暮らしの在宅死も可能になるのです。