失敗体験こそドーパミン分泌のカギ

アウトプットの大切さを繰り返し述べてきましたが、ドーパミンの分泌という意味でも、アウトプットを継続していくことは非常に大切です。

「IOK高速サイクル」によって、アウトプットを繰り返していくと、必ずどこかで壁にぶつかります。そのことを「失敗した」とネガティブに捉えることは一番よくありません。特に初めての仕事や難易度の高い仕事に取り組むときは、失敗を恐れるあまり、行動を起こせない人が多いと思います。

でも、失敗こそ、あなたが脳内の成功物質であるドーパミンを味方につけて、スキルアップしていくための鍵なのです。「失敗は成功のもと」とはよくいいますが、これは脳科学的な観点からも正しいといえます。その理由を解説しましょう。

脳科学の世界では、成功体験を積み重ねると、ドーパミンの分泌が増え、ますますやる気になり、集中力もアップすることがよく知られています。これは冒頭でも話した通りです。しかし意外と知られていないのは、実は「失敗の貯金」が多ければ多いほど、成功したときのドーパミン放出量が多くなる点です。

ある脳科学の実験で、平穏無事な生活を続けていると、脳内のドーパミン量が減ってくることがわかっています。ドーパミンは不思議な性質をしていて、目的を達成するために苦労すればするほど、達成したときに分泌されるドーパミン量が増えるのです。振り子をイメージしてみてください。失敗の回数が多ければ多いほど、そのぶん振り子の振れ幅が大きくなって、達成時のドーパミン量が増えていくイメージです。

このことは、自分の体験からも実感しています。起業したときは、それこそ失敗の連続でした。コネも金も人脈も経験もない状態でスタートしましたから、とにかく営業電話をかけまくってはむげにされる毎日。仕事は一向に決まらず、初めの頃は失敗を積み重ねるのが日常と化していました。

そのため、最初のお客さまが発注してくれたときは、もう飛び上がるほどの喜びでした。後にも先にも、このとき以上にドーパミンが分泌された経験はありません。「失敗の貯金」がたまりまくっていたからです。