「お寺が葬式や戒名で稼ぐのはおかしい」と怒る人たちがいる。最近も「形骸化した仏教を復興させる」として京都大学の研究組織が「仏教対話AI」を開発した。だが宗教社会学者の岡本亮輔さんは「日本人にとって葬儀には、信仰とは異なる機能がある。『葬式仏教』という批判は的外れだ」という――。
手を合わせる男女
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仏教対話AI「ブッダボット」の狙い

3月末、京都大学の研究組織「こころの未来研究センター」が仏教対話AI「ブッダボット」の開発を公表した。グーグルの提供するアルゴリズムを応用して仏典を機械学習させ、ユーザーからの質問に対して文章で回答できるようになったという。経典の教えに基づいて現代人の悩みに応えてくれるというわけだ。

最先端のAIと最古の経典という組み合わせは新鮮である。精度などにまだ課題があり、一般公開は先になるとのことだが、AIを経由することで仏教への新たなインターフェイスが開かれることで、今後どのような展開になるのか大変興味深い。

他方、このAIの誕生は、現代宗教論の観点から見れば、日本人と宗教の関係に問いを投げかけるものだといえる。