子どもの将来は生まれる前から決まっている

このように、子の大学進学は、試験の成績だけではなく、親の経済力がないとそもそも無理なのです。親の経済力によっては進学そのものをあきらめる子もいるでしょうが、どうしても進学したい若者は、奨学金を借りて進学することになります。その先には、よりつらい現実が待っています。運よく大企業に就職できた学生はまだしも、給料の安い会社にしか就職できなかった場合には、その中から自分の生活費と奨学金の返済というダブルの支払いを課せられることになるからです。

本人の学歴によって将来の所得格差が生まれるという局所に目がいきがちですが、問題の本質は、生まれた両親の所得状況によって子どもの将来は決定づけられているという厳しい現実です。もっと、有り体にいってしまうと、「どんなに努力しても貧乏な家の子は貧乏だし、裕福な家の子は裕福になる」ということです。

良い大学に行ける子は親が裕福だから行けるのです。本人の学力や努力だけの問題ではありません。どんなに優秀で医学部に行きたいと子が願っても、貧乏な親ではその学費を払うことは不可能です。つまり、遺伝子のように貧乏も裕福も遺伝する、とも言えるわけです。

さらに残酷な「親が貧乏なほど結婚しづらい」現実

今まで述べた通り、学歴は生涯賃金に直結します。そればかりではありません。親が貧乏なら結婚すらできないのです。

親が貧乏なほど、子の未婚率は高い

男性の30~40代、女性の50代に関しては、親が貧乏である人の未婚率が明らかに抜きんでて高い。前回記事で「結婚は消費である」という話をしていますが、まさに、「結婚は贅沢な消費」なのです。

現代の未婚者は200万~300万円の年収がボリュームゾーンです。親元に住んでいるならまだしも、その収入でひとり暮らしをするとなるとなかなかきついものがあります。それでも、20代男性や30代女性を見ると、親が貧乏でも未婚率が平均を下回っているところもあります。

婚活の現場では500万円以上の年収が「普通の男」とみなされたりする「浮世離れ理論」が幅をきかせていますが、実際、男性の平均初婚年齢での年収は200万~300万円が大部分です。夫婦合わせて400万~600万円の世帯収入があればなんとかやっていけることも確かです。