青森山田はサッカー以外に卓球、バドミントン、野球、駅伝もトップ級

黒田監督が指導する青森山田は現在、高校サッカー界随一の強豪校だ。高校王者を決める選手権において2016年度と2018年度に優勝。2019年度と2020年度(今大会)は準優勝。つまりこの5年間で4回、日本一を争う場に進出している。

Jリーガー輩出数もダントツで、日本代表の柴崎岳、室屋成をはじめ、40人以上のプロサッカー選手を生んでいる。そのため全国から有望選手が集まり、部員数は200人前後。チームは6軍まで分けられ、厳しい競争が強さにつながっているといわれる。青森は練習環境でもハンデがある。冬はグラウンドに雪が積もり、寒さも厳しい。こんな場所で、よくトップレベルのチームを作ったと評価もされている。

青森山田高校サッカー部の紹介コーナーには「サッカーだけではなく挨拶や礼儀など人として当たり前のことを行えるよう厳しく取り組んでいます」とあった(同校HPより)
青森山田高校サッカー部の紹介コーナーには「サッカーだけではなく挨拶や礼儀など人として当たり前のことを行えるよう厳しく取り組んでいます」とあった(同校HPより)

弁明で黒田監督は「意図的にしたことではない」と答えている。強いチームをつくるには勝利に対する並々ならぬ執念が必要だ。また、教え子に勝利の喜びを味あわせたいという思いも強いだろう。その思いが無意識に出てしまった行為なのかもしれない。だが、意図的でないとしても多くの人が見て疑問に感じる行為はしないように努めるべきだろう。多くの人が名指導者として認め、リスペクトされているのだからなおさらだ。

この青森山田はサッカーに限らず、多くの競技がトップレベルの実力を持つ。例えば、卓球の男子はインターハイで優勝15回、女子も4回優勝している。バドミントン女子も10回、新体操男子団体は11回、日本一になっている。

野球も甲子園に春・夏合わせて13回出場。駅伝とラグビーも全国大会の常連だ。ひとつの競技でさえ地区予選を勝ち抜いて全国大会に出場するのは大変なのに、これだけの競技が当たり前のように全国の頂点を争っているのだから、すごい。

「甲子園出場」で校名を知らしめ有能な人材を集める私立校

同じように複数の競技がトップレベルにあるスポーツ強豪校は他にどこがあるだろうか。

サッカー以上に注目度が高く、数多くの高校が強化しているのが硬式野球だ。それだけ競争が激しく、日本一になるのは至難なわけだが、そこで絶対的強さを誇るのが大阪桐蔭だ。甲子園大会は直近10年間で春・夏とも3回ずつ、通算では8回全国優勝している。また、ラグビーも全国大会で優勝と準優勝が1回ずつ、女子バスケットやゴルフでも日本一になったことがある。

野球部が甲子園に出場したことがある高校は、他の複数の競技もその後、トップレベルにある傾向がある。「野球部にできるのなら自分たちもできる」と頑張るのだろう。

甲子園出場は校名の知名度を高める効果が抜群で優秀な生徒が集まるようになる。スポーツだけでなく学力レベルもアップし、難関大学への合格者を出すことにも成功するケースも多い。そうやって学校運営に好循環が生まれるため、そのやり方を踏襲する学校は多い。