新型コロナによる自粛生活が続く中、「感情コントール」を失って暴走する人が増えている。そういう人にどう対処するか、あるいは、自分自身が気づかぬうちにそんな「困った人」にならないためにどうすべきか。精神科医の和田秀樹氏がノウハウをまとめたセブン‐イレブン限定書籍『感情的にならない心の整理術』を上梓。同書からそのエッセンスを紹介する──。(第3回/全3回)

*本稿は、和田秀樹『感情的にならない心の整理術』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

森田療法の「感情の法則」

神経症の治療法として世界中に広まっている森田療法には、「感情の法則」と呼ばれる考え方があります。詳しく説明すると専門的になりますが、基本的な考え方はものすごくシンプルです。

それは、「感情は放っておけばだんだん収まってくる」というもの。不快なことを気にすればよけいに不快な気分になりますが、感情というのは放っておけばそのうち静まってくるのです。

「腹が立つ」……放っておく。
「悔しい」……放っておく。
「憎い」……放っておく。

森田療法の基本的な考え方は「あるがままに」ですから、腹を立てることも悔しがることも、他人を憎いと思うことも、あえて否定はしません。どれも感情の仕業ですから、あるがままに放っておけばいいと考えるのです。

雨滴があふれた窓に描かれた幸せな笑顔
写真=iStock.com/ksenija18kz
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問題は「感情」ではなく「感情コンディション」

実際、「怒るな」と言われても無理です。「悔しがるな」「他人を憎むな」、あるいは「嫉妬するな」「悲しむな」、すべて無理です。

理性では、そういった感情が少しもプラスにならないとわかっていても、私たちはつい感情が強く出てしまうことがあります。

でも、そのときどきで感情的になったり、ならなかったりします。いつもならカチンとくる上司の嫌味も、「なにか言ってますねえ」と受け流せるときもあるのです。

それはどういうときかといえば、あなたの「感情のコンディション」がいいときです。逆にいつも以上にピリピリ、イライラしているとき、つまり「感情のコンディション」が悪いときは、すぐに腹を立ててしまうものなのです。