トルコではクルド人の虐殺が毎日起きている。トルコ南東部のジズレという町では、2年間で約2000人が政府によって命を奪われた。いったい何が起きているのか。ジズレでの虐殺の様子を撮影し、自身も右足を撃ち抜かれたテレビカメラマンの証言を、ジャーナリストの舟越美香氏がリポートする——。

※本稿は、舟越美香『その虐殺は皆で見なかったことにした トルコ南東部ジズレ地下、黙認された惨劇』(河出書房新社)の一部を再編集したものです。

2016年8月26日、トルコ南東部シュルナク県ジズレで、自動車爆弾により破壊された警察庁舎(トルコ)
写真=AFP/時事通信フォト
2016年8月26日、トルコ南東部シュルナク県ジズレで、自動車爆弾により破壊された警察庁舎(トルコ)

自国民を銃撃する治安部隊

レフィック・テキンは、国軍により封鎖されたジズレで映像を撮り続けた、ただ一人のテレビカメラマンである。

しかし彼の取材活動は封鎖から36日で終わらざるを得なかった。スナイパーに射殺されて、通りに放置されたままの市民の遺体を回収しようと現地に向かった市民一行を同行取材し、その途中で治安部隊に銃撃されたのだ。

レフィックは右足に被弾したが、流血と痛みに耐えながらビデオカメラを回し続けた。白旗を掲げた非武装の市民が銃撃される決定的な映像を収めたカメラは同僚の女性記者に託され、記者は住民の助けを借りて映像をインターネットで本社に送った。

映像は放映され、「軍との交戦で、テロリストが死傷した」とする政府発表を覆し、「テロとの戦い」の名の下で市民が犠牲になっている事実を国内外に知らしめ、大きな衝撃を与えた。

レフィックが同僚とよく口にした言葉がある。

「戦争の最初の犠牲者は真実である」

ジズレで起きているのは、この有名な言葉そのものだった。