お金の勉強不足で夢が奪われる

――日本人はそもそも、どうして夢を持てなくなっているのでしょう?

【西野】夢を諦めないといけない確率が上がっちゃっているっていうのがあると思います。理由はいくつかあると思うんですけど、日本の場合だと、どんどん人口が減って(市場が小さくなって)いる。そういうところで、ちょっと夢を見にくくなっていると思います。

『映画えんとつ町のプペル』
©西野亮廣/『映画えんとつ町のプペル』製作委員会

だけど、それは言ってもしょうがないことなので、今から頑張れる部分でいうと、やっぱりお金の教育を徹底的にしなかったっていうところ。

日本人って幼稚園から始まって、高校でも、大学でも、お金の勉強をしないじゃないですか。それで、社会に出てようやく、「あれ、お金ないな」とか、「ちょっと待って、お金増やすってどうするんだっけ」みたいなことになっている。

挑戦しようと思ったら、お金は絶対に必要です。生活費や何かしようと思ったら予算が必要になってくるし、そういったものを集めるノウハウの勉強を一切してないと、当然夢を諦めないといけない確率が上がってしまう。

――夢を持っても、お金がないから無理だなって思ってしまう。

【西野】はい。みんながそういう状況なんで、結局諦めざるを得ない。要は、シンプルに、みんなの目が死んでいる理由がお金の知識不足である、っていう。

クラウドファンディングだって今でこそ一般化したと思うんですけど、7、8年前は、日本中が知らなかったので。何かやろうと思ってお金がいるってなった時に、「よっしゃ、クラウドファンディングで集めよう」っていう選択肢が日本にはなかった。それって本当は学校で教えてあげなきゃいけないことで。

ここまでお金のことを教えない国って、僕が知っている限りでは日本ぐらいで、とにかく夢をつぶすような学校教育のカリキュラムになっていることは間違いないです。

貧困が連鎖するスラム街と日本は同じ

――どうして学校教育でお金のことを教えていないのでしょう。

【西野】踏み込んだ話をすると、そっちの方が支配しやすいからだと思います。国民全員がうっすら貧乏になった方が支配しやすいので。

お金を持っちゃうと、例えば、GAFAみたいなのが出てくると国でもコントロールできなくなってしまうので。基本的には全員をうっすら貧乏にする教育にはなっている。そして、これに親が気付いてないっていう問題があります。

僕は結構、貧困国に行くんですけど、スラム街で起こっていることと日本で起こっていることって本質は似ているなって。つまり、親が働き方を知らないから、子供に「こうやったら働けるよ」って教えてあげられない。貧困の連鎖から抜けられないんです。

――日本も同じ状態……。

【西野】日本は、ずっとその状態ですね(笑)。