「心配をかけて、ごめんなさい。私は留置所で元気です」

公安条例違反罪に問われた民主活動家の3人に対する裁判が11月23日、香港で開かれた。周庭(23)、黄之鋒(24)、林朗彦(26)の各氏で、昨年6月に無許可の集会に参加して若者たちの参加を扇動したことなどで起訴された。

2019年の抗議活動に関連した無許可集会容疑で、2020年11月23日、裁判のために到着した後、メディアに向かって話す「香港衆志」の(左から)アグネス・チョウ、イワン・ラム、ジョシュア・ウォンの3人。
写真=AFP/時事通信フォト
2019年の抗議活動に関連した無許可集会容疑で、2020年11月23日、裁判のために到着した後、メディアに向かって話す「香港衆志」の(左から)アグネス・チョウ、イワン・ラム、ジョシュア・ウォンの3人。

周氏は香港の民主運動の女神的存在で、来日して講演したこともある。

3人がそれぞれ起訴事実を認めたため、有罪と認定され、そのまま収監された。量刑を含めた判決は、12月2日に言い渡される。刑期は最高で5年とみられる。

収監された周庭氏の代理人は25日夜、ツイッターに以下のメッセージを投稿した。

「皆さんの関心に感謝します。心配をかけて、ごめんなさい。私は留置所で元気です。環境に適応しようと努力しています。皆さんと一緒に誕生日を過ごせることを願っています。待っていてください!」

周氏には12人部屋が割り当てられ、2晩とも眠ることはできたが、食欲はないという。

黄之鋒氏は「独房で24時間電気が付いており、よく眠れない」

同じく収監された黄之鋒氏も代理人がフェイスブックに近況を投稿した。独房で24時間電気が付いており、よく眠れないという。

中国と香港の両政府は、活動家として知名度の高い3人に厳しい制裁を加えることで、香港の民主派議員や学生、若者を萎縮させることを狙っている。今年6月末の国家安全維持法(国安法)の施行以来、民主派の締め付けを強化。両政府の弾圧は際限がなく、3人が起訴事実を認めたのも、家族、友人、仲間に危険が及ぶのを避けようと考えたからである。

日本をはじめとする民主主義の国々は、中国・香港政府を批判し、3人の釈放と無罪判決を強く求めるべきである。それが自由を重んじる民主主義国家のあかしであり、国際社会の役割だ。

3人は民主的な行政長官選挙を求め、2014年9月28日から79日間続いたデモ(雨傘運動、道路占拠運動)の中心メンバーだった。昨年の市民による大規模な抗議デモでも、民主派の主張を国際社会に発信し続けてきた。

収監に当たり、黄氏は「私たちは自由の価値を世界の人々に理解してもらおうと努めてきた。そのために自分の自由は喜んで犠牲できる。自由のために戦い続ける。中国政府には降伏しない」という内容の声明を出した。

国際社会はこれまでの3人の活動を評価し、自由の尊さをあらためて学び取るべきである。