言語の上手さより、いかに相手と心でつながるか

【三宅】英語を勉強されている方に対して、なにかメッセージはありますか?

【宮本】音楽と一緒で、「好き」という気持ちを大事にして、地道な努力を続けていただくことと、実際に現地の人とコミュニケーションをとってみることが大切かなと思います。

【三宅】たしかに1日16時間英語を勉強したら、あっという間に上達するはずです(笑)。

【宮本】そうですよね(笑)。とくに日本で英語を勉強されている方は、とても真面目に勉強をされている方が多いと思うんです。ただ教科書ベースで勉強をしたり、日本人同士で英語を使うだけでは、どうしても限界が出てくると思います。その壁を突破するためには、やはり外国の方々と直接話す機会を増やしていくしかないと思うんですね。

机の勉強だけでは感じられないイントネーションの違いなどを知る機会にもなりますし、日本人同士の会話とはまったく違った感情のやり取りが生まれるはずです。

【三宅】感情のやり取りですか。

【宮本】実体験を話すと、私がインターナショナルスクールに入った直後はクラスのなかで「この子は喋らないから何を考えているかわからない」みたいな存在でした。でもあるとき、みんなの前でヴァイオリンを演奏する機会があったのです。それを機に「笑里は音楽を頑張っているんだから、英語に関してはみんなで助けてあげよう」みたいな意識が生まれたようで、そこから急にみんなと仲良くなれたんですね。

三宅 義和『対談(4)! プロフェッショナルの英語術』(プレジデント社)
三宅 義和『対談(4)! プロフェッショナルの英語術』(プレジデント社)

【三宅】まさに音楽が国境を越えたわけですね。

【宮本】音楽を通して私の思いが伝わったんだと思います。ですから「言語をどれだけ上手に話せるか」ということはいったん置いておいて、「いかに相手と心でつながるか」ということを優先していけば、突破口は必ず見えると思います。

私も最初はうまく話せたわけではないですけど、友達が私の下手な英語を一生懸命理解してくれようとしてくれたおかげで、少しずつ意思疎通が図れるようになりました。そのとき、私のなかで「あ、これでも良いんだ」と気づいた瞬間があって、それ以降は英会話に対するモチベーションも自然に上がりましたし、自ら話しかけていく勇気も出ました。

イーオンさんも含め、いまはネイティブの方からレッスンを受けられる機会があるわけですから、まずは「生きた英語を実際に使う」という機会を増やしていただいて、情勢が落ち着いたら外国に行って、勇気を出して現地の方とコミュニケーションをとっていくと、一気に成長できるんじゃないかなと思います。

【三宅】ありがとうございました。

ヴァイオリニストの宮本笑里氏(左)とイーオン社長の三宅義和氏(右)
撮影=原貴彦
イーオン社長の三宅義和氏(左)とヴァイオリニストの宮本笑里氏(右)。衣装提供:ドレス10万円 ADEAM 東京ミッドタウン店(TEL:03-3402-1019)
(構成=郷 和貴 衣装提供:ドレス10万円 ADEAM 東京ミッドタウン店(TEL:03-3402-1019))
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