新型コロナ感染防止で類似システムが急増

当初は人手不足やインバウンド(外国人旅行客)対応の導入拡大を目指したが、緩やかな市場拡大にとどまり、ここにきて新型コロナ感染防止の対人非接触型オーダーシステムとして一気に導入店舗が増えた。その間、類似システムを取り扱う運営会社も増えた。

具体的な使い方は、まず顧客がスマホで店側が発行するQRコードを読み取ると、スマホに専用画面が入力され、「オーダー追加」「領収書発行予約」「定員呼び出し」ができる。店員もスマホをハンディー端末として使う。「オーダー追加」「テーブル状況確認」「領収書印刷」などにきめ細かく対応できる。

印刷したQRコードから注文画面を呼び出す(左)。注文画面のイメージ(右)。
写真=筆者提供
(左)印刷したQRコードから注文画面を呼び出す(右)注文画面のイメージ

また、POS(販売時点情報管理)レジスターは、これらの機能に加えて「メニュー管理」「伝票管理」「レジ機能」「領収書発行管理」などが行える。クラウド上で情報を管理しているため、リアルタイムで売上データを把握でき、翌日の発注作業の効率化につながる。データ集計で人気メニューがわかるので商品開発にも反映できる。性別、年代別に注文データを蓄積し、AI(人工知能)を活用した業務改善が可能だ。Q社はこれらを初期費用なし、月額利用料4万5000円(税別)で提供している。

業界地図が塗り替えられる可能性が高い

同様のセルフオーダーシステムは現在、多くの企業が続々と導入店舗を拡大している。コロナ禍に対応した非接触型システムの拡大は、飲食店の生産性向上、2021年に開催が予定される東京五輪に向けたインバウンド対応、人手不足対応の面から加速していくと思われる。

一方で、Q社の特許権は「QRコード発行」という広い範囲をカバーしているため、市場拡大に与える影響は大きいと考えられる。今後はQ社の特許権を「どこが買うか」が最大の焦点になるだろう。その特許取得先が、どのような政策を行うかによって業界地図が塗り替えられる可能性が高い。

もし、どこも名乗りを上げなかったとしたら、Q社は権利を主張すべきだ。ここまで10年近い歳月、億単位の費用、開発や生活の苦労が重なってきている。特許は、開発者利益を適正に保護するものであってほしい。

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