民衆のための私心なき改革

私は、社長就任時に社員に向けて「疾風に勁草を知る」という話をしました。厳しい風が吹いて初めて強い草かどうかわかるという意味で、『後漢書王覇伝』に出てくる言葉です。この味わい深い言葉を反芻しながら藩政改革を進めたのが上杉鷹山です。

<strong>四国電力取締役社長 常盤百樹</strong>●1942年、香川県生まれ。64年、京都大学卒業。同年、四国電力入社。営業部長、企画部長を経て95年取締役、98年常務取締役、2001年取締役副社長、05年より現職。古典芸能のなかでも特に歌舞伎をこよなく愛している。
四国電力取締役社長 常盤百樹●1942年、香川県生まれ。64年、京都大学卒業。同年、四国電力入社。営業部長、企画部長を経て95年取締役、98年常務取締役、2001年取締役副社長、05年より現職。古典芸能のなかでも特に歌舞伎をこよなく愛している。

上杉鷹山は、日向・高鍋藩から米沢藩に養子として入った人物で、鷹山が藩主になるとき、藩は財政破綻に陥っていました。10代将軍徳川家治の時代のことです。大胆な経営改革を打ち出し、抵抗勢力を説得して殖産興業を手がけるなど、鷹山は長期的視点に立った政策で見事に藩を蘇らせました。

この改革が実を結んだのは、鷹山に一片の私心なく、米沢藩は民衆のための藩でなければならない、と訴えたからでした。200年以上を経た今日でも、リーダーとしての心構え、改革へのプロセス、人材教育など、経営者として鷹山に学ぶところ多大なり、と感じています。

電力事業は10年前に競争の時代へと移行し、現在では、一般家庭を除くほとんどのお客様が自由に電力会社を選ぶことができるようになるなど厳しい競争環境下にあります。電力自由化の時代においては、コストダウンによる価格競争力に加え、非価格競争力を強化し、お客様から信頼され選択していただく企業になることが最も重要です。そのためには、我々の最も大事な使命である“安定供給の継続とコストダウン”を同時達成しなければなりません。それには意識を変え知恵を出し合うことが必要です。その成果として当社はこの10年間に6回値下げを行い、累計で約25%の料金値下げを実現しました。

価格競争という面での競争相手は、ガス会社や鉄鋼会社、商社などの新規参入企業とともに自由化以前からの競争相手として我々が意識している自家発電があります。四国には、製紙会社や化学会社の工場が多く、これらの工場では、蒸気が生産工程で不可欠であり、その蒸気を発電にも活用して、自らが電気をつくるのです。すでに、大口需要に占める自家発電のシェアは5割に達しています。