新型コロナの影響で在宅ワークや時差通勤、間引き出社が当たり前のものになった。そんななか、ネットニュース編集者の中川淳一郎さんは「いまこそ、これまでの働き方を見直す好機。自由度が高く、ストレスも少ない在宅ワークで獲得した自分なりのよいルーティンを、職場に戻ってもできるだけ継続すべき」と説く。その意図とは──。
スーツを着た男性が、右手にヨガマットを抱え、時計を気にしている
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コロナ禍で辞めていた筋トレを再開

新型コロナの流行にともなう在宅時間の多さから、筋トレを復活させてしまった。以前、当連載で「『筋トレ』なんて、いますぐ辞めてしまえ」などといっておきながら、それを撤回したことになる。

くだんのコラムでは、「筋トレなんて、無理をしてまでやる必要はないもの」「SNSで筋トレ自慢に明け暮れているような知り合いと張り合うのはバカ」「筋トレ中毒のようになって、終わりの見えない競争に縛られても疲れるだけ」といったことを述べた。要するに、無意味なプレッシャーに踊らされたり、「デキるビジネスマンはジムで鍛えるのが当たり前」といった言説に惑わされたりせず、日々の暮らしのなかで無理なく続けられることを、できる範囲でやればいい……と伝えたかったのである。

当時の私は毎晩のように飲み歩いていたため、もはや筋トレをする余裕はなかった。その飲み会がコロナのせいでパッタリとなくなったため、浮いた時間に「さて何をするか」ということになり、筋トレを選択したわけだ。

ベンチプレス10回を1日に5セット

わが家にはもともとベンチプレスのセットがあったので、外出を控えるようになってから“55kgの重さを10回持ち上げる”を1日5セットほどおこなうことにした。

学生時代、おすすめの練習メニューとして「まずは軽い重さでトレーニングを開始したら、少しずつ重くしていき、どうにか1回だけ持ち上げることができる『MAX』の重量まで負荷をかけていく。その後、少しずつ重量を減らしていくやり方がいい」と教わった。だが、いまは補助してくれる人がいないため、「ひとりでも余裕で10回上げられる重量にて1日5セット」というマイルールを設けて取り組むことにした。

すると面白いことに、この重さが徐々に上がっていくのだ。同時に、明らかに筋肉もついていく。筋トレのよさとは、「筋肉は裏切らない」という言葉があるように、やればやるほど成果が出る点にある。だからこそ、私は若き日に筋トレにハマり、1996年の「関東学生パワーリフティング選手権大会」において「ベンチプレス」種目の60kg級で関東5位という結果を残すまで鍛えてしまったといえる。

社会人になってからもしばらくは筋トレを継続していたのだが、仕事が忙しくなるにつれて時間的にキツくなり、ほどなく辞めてしまった。それが、今回の新型コロナ騒動で復活に至ったのである。

鍛えるなかで改めて感じたのは、成果がはっきりと表れる喜びに加えて、ストレス解消にもすこぶるよいということだ。重いものを、全身の力を使って持ち上げる行為は完全にストレス発散になるため、イラッとするメールが来たりしてもすぐに心を落ち着かせることができる。これは筋トレがもたらす心の安寧である。