債権回収のプロと警察のプロのコミュニケーション力

「そんな意見を言っていいのですか。あなたにも家族があるだろう。われわれの意見に反対するとあなたと家族のためにならないよ!」という声が、会議の雰囲気を凍らせた。

私は思わず発言者の顔をまじまじと見た。どちらかというと端正で、一見すると冷静な表情である。ただし、唇と頬に緊張が観察されたので、内心はかなり不安を感じていると判断できた。

この瞬間に「感じが悪い人はなぜ感じが悪いのか」という研究テーマが私の頭に浮かんできた。新しい研究テーマを発見するきっかけを与えてくれたことに若干の感謝を感じているが、あの恐喝者まがいのビジネスパーソンに、私は二度と会いたいとは思わない。

「感じのよさ」自己チェックシート
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「感じのよさ」自己チェックシート

コミュニケーションを「仲良くなるためのコミュニケーション:friendshipを目指すコミュニケーションという意味でF型コミと省略」と「対立して、相手を説得または屈服させるためのコミュニケーション:confrontation=対立という意味でC型コミと省略」に分けて考えてみよう。

企業で実施されているコミュニケーション・スキル研修のほとんどが、F型コミ・スキルの習得を目的としている。マネジャーやエグゼクティブのコーチングでは、「事業部長の鈴木さんは優秀なのだけれど、つぶされる部下が多く問題になっています。なんとかできませんか」という依頼が多い。この場合は、C型のコミュニケーションばかりしていた鈴木さんに、F型コミュニケーションができるようにすることがコーチングの目的になる。

F型コミ志向のトレーニングには2つの前提がある。一つ目は、F型コミをするのか、C型コミをするのかは、状況に関係なく人間が選択できるという前提である。二つ目は、F型コミは人によい印象を与え、C型コミは悪い感じを与えるという前提である。