稼げないホストの悪質な行動

「ライン教えてください」

もう夜が明けるというのにキャッチの兄ちゃんはあいかわらず女の子に声をかけている。夏休み、1人でも引っかかれば儲けもんだ。もちろん多くは歌舞伎町の女、無視することには慣れっこだ。

「ライン教えてよ、ラインだけでいいから」

こんなあやしい兄ちゃんに一方的にまくしたてられてラインを教えるバカがいるものかとも思うが、「え~」と野暮ったい服装の女子二人組が照れくさそうにスマホとスマホを突き合わせている。かわいそうに、ラインだけで済めばいいが、ひと夏の代償は高くつきそうだ。最近、追い詰められたホストの女に対する暴力もよく耳にするようになった。これまでもあった話だがより悪質で増えているという。歌舞伎町で稼げないホストは人間未満、そんな連中が追い詰められて女を死ぬまで追い詰める。拷問に近い話もある、これから事件化するだろう。

やる気のない立ちんぼたち

「お父さんマッサーどうですか」

声をかけてくる立ちんぼも少ない。一番街の連中などやる気が無いのかちょっとした取り締まりがあったのか突っ立ってるだけ。夜中の3時、路地で中国人からやっとお声がかかったが、どこから来たのかと聞くと香港人だという。タイムリーな営業だ。彼女、李登輝元総統死去のときには台湾人だったかもしれない。端から疑うな、かわいそうだと怒る純粋な方々もいるかもしれないがいつもの手口なので心配しなくていい。彼女たちは生きるに必死なだけだ。

東口駅前広場には終電を待って一眠りの若者とホームレスとが路上で大の字になって熟睡中。大都会をベッドに気持ちよさそう。この光景、ある意味現代アートというべきか。

著者撮影
東口前、思い思いに熟睡中

夜が明けるころ、コンビニのATMにスタイルの良いショートカットの女の子、外には漆黒のGクラス、女が金を渡すとGクラスは走り去った。なにやら入り用の男に用立てたというところだろう。これから仕事なのか家に帰るのか、何者かはわからないが女の子の背中が寂しい。歌舞伎町で金になるのは女だけ、本当に女で食える連中はホストなんて面倒なお勤めなんかしない。一度捕まったら最後、風呂に落ちても男に貢ぐようになる。