現在の市場規模は1200億円程で、10年前の約3倍に

そもそもペットボトルの麦茶の市場が大きく伸びたきっかけは2011年の東日本大震災だったという。それまではティーバッグの需要が主だったが、「震災後は飲料水に対する不安から、2リットルサイズの麦茶のペットボトルを冷蔵庫に常備する家庭が一気に増えたんです」(相澤氏)。節電意識の高まりから、暑さ対策として麦茶を飲む人が増えたことも手伝い、2リットルサイズの売り上げが爆発的に伸びた。

2018年の歴史的猛暑も、麦茶飲料市場の伸びをさらに後押しした。現在の市場規模は1200億円程で、10年前の約3倍にまで拡大している。

ペットボトルの麦茶の消費量が右肩上がりに上がり続けている中、ここ5年程でボトルの大きさに対するニーズは変化した。

「2リットルだけではなく650ミリリットルのボトルを箱でまとめ買いする方が増えてきました。家庭内でそれぞれが自分のペットボトルを決めて飲んだり、外出時に家からペットボトルを持ち出したりする需要によるものです」

600mlは自販機向け、650mlはスーパー向けである理由

消費者の大容量ボトルに対するニーズがあること、650ミリリットルのボトルの箱買いが増えていることはわかったが、なぜ600ミリリットル台のボトルが3種類もあるのだろうか。

まず600ミリリットルについて相澤氏は、「自動販売機に入れるために必要なのです。650ミリリットルや670ミリリットルは自販機に入りません。自販機に入る大きさの範囲で一番大きいものとして、600ミリリットルを作っています」と説明する。

では650ミリリットルと670ミリリットルがある理由は何だろうか。

「670ミリリットルはコンビニ限定の商品です。コンビニで麦茶を買われる方は男性が多く、ご要望にお応えするために、値段はそのままにより多い量を、ということでこのサイズを作りました」

それならば量販店で扱うものも全て670ミリリットルに統一すれば良いのに、と思えるが、それは違うようだ。

「量販店は女性のお客様が多く、お子様から大人までご家族向けに購入する方が多いことが理由です」
「また、先ほどお話しした通り、近年は量販店でペットボトル24本入りの箱を買う方がかなり増えています。650ミリリットルと670ミリリットルを1本で比べると重さは微々たる違いですが、これが24本となると箱を持ったときに感じる重さがかなり変わってくるんです。そのため650ミリリットルは必要だと判断しています」