最大の課題は、地政学的リスク
さらにこの状況に追い打ちをかけるように、新型コロナの影響でスマートフォンの販売数の減少とソニー製CMOSが搭載されるハイエンドモデル離れが発生。市場の冷え込みが予測され、今後も売上高増加がキープできるのかという議論が起こっています。
パナソニックの航空機向け映像音響機器も海外売り上げに依存しています。グループ会社にパナソニック アビオニクス コーポレーションというアメリカを拠点とする飛行機内のWi-Fi、オーディオ機器設備の生産を手掛ける会社があり、世界市場を大きくリードしていますが、これもまた新型コロナの影響を大きく受けています。
製造機器の供給先企業であるアメリカのボーイング、欧州のエアバスといった航空機メーカーは海外渡航の禁止などに起因した航空会社の便数の減少や航空機需要の低迷に苦しんでおり、生産航空機数を大幅に削減する計画を発表しました。
また、自動車業界も収束の予測ができないため苦戦が予測される分野です。テスラ向け電気自動車(EV)用電池の生産等を手掛ける社内ドメインのオートモーティブは、自動車工場稼働停止などの影響から直近売り上げが半減するほどの落ち込みを受けています。
しかし、角型二次電池に関して、2020年4月にトヨタと合弁会社を設立していたため、同事業が今後非連結対象となることは、不幸中の幸いといえます。
電機業界はグローバル化により、生産・需要ともに海外に依存しています。これは今回のようなパンデミック、そして紛争が起きた場合など、常に地政学的リスクを孕んでいるものです。
今後は、この地政学的リスクとの向き合い方を考えることが経営陣の課題だといえるでしょう。
(構成=網田和志 写真=時事通信フォト)