注目は「はま寿司」「すき家」のゼンショー

最後は「立地」。今も“夜の街”での感染拡大が報じられていますが、やはり人が密集する繁華街は避けたいと考える人が多いでしょう。となると、車で行けて、店内も比較的広くてソーシャルディスタンスが取れる郊外やロードサイド店が、消費者心理としては行きやすくなります。

これらを総合すると、厳しいのはやはり居酒屋チェーンです。テイクアウトに向くとはいえず、滞在時間は基本的に長く、繁華街にある店舗が多い。ファミレスも居酒屋ほどではないものの苦しいでしょう。コロナ以前からショッピングモールのフードコートや回転ずしなどにファミリー層のお客さんを取られ、もともとあまりいい状況ではありませんでした。そこにコロナ問題が重なって、弱り目にたたり目というところです。ファミレス大手の一角ジョイフルが直営店の約3割にあたる200店程度を2020年7月以降に閉店すると発表したのは、象徴的な出来事といえるでしょう。

逆に有望なのはゼンショーホールディングスです。ゼンショーの主力は牛丼のすき家と回転ずしのはま寿司ですが、すき家はテイクアウトが伸びて、立地も郊外が多い。はま寿司もテイクアウト対応をしていて、滞在時間も比較的短く、ロードサイド店も多い。ゼンショーグループにはココスやビッグボーイなどの苦しいファミレスチェーンもありますが、全体的に見れば有望なポートフォリオといえるでしょう。

ほかの牛丼チェーンでいえば、吉野家はわりと堅調ですが、繁華街に店舗が多い松屋は苦戦気味です。吉野家やすき家はマーケティング戦略が巧みで、メインの顧客層であった20~30代の男性客だけでなく、女性やファミリー向けの商品やキャンペーンなども打ち出しています。テイクアウトが広がれば、店に入りにくかった女性客の取り込みにもつながるため、ポテンシャルはまだあると見ています。

(構成=衣谷 康 写真=AFLO)
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