韓国における自殺報道のガイドライン

こうした事態を重く見た韓国記者協会と韓国自殺予防協会は2004年、共同で「韓国記者協会自殺報道倫理綱領」を発表し、自殺報道のガイドラインを設定した(ただし、社会的に重要な人物など例外についてはこの限りではない)。

その中で「避けるべき事項」には、以下の内容が含まれている。

・(新たな)自殺方法を紹介し、細かく説明すること
・小さな事実を根拠に一般化したり、自殺の原因を単純化したりすること
・自殺した人の写真を掲載すること
・有名人の自殺記事を主要ニュースとして掲載すること

そして、「入れるべき事項」として以下を定めている。

・自殺の最近の傾向
・最新の治療およびカウンセリングの発展の様子
・治療およびカウンセリングを受けて自殺の危機から脱した人々の事例
・自殺せずとも、絶望から立ち直った人々の事例
・自殺神話、自殺の兆候
・自殺危機に面した他人を手助けする方法

確かに韓国の自殺率は下がったが…

そして、「自殺報道勧告基準3.0」は以下の3つを基本骨子としている。

1.自殺報道には社会的責任が伴います。
2.間違った自殺報道は人間を死なせることにもなります。
3.自殺報道方式を変えれば貴重な命を救うことができます。

そのうえで、以下の5つの原則を定めている。

1.記事のタイトルに「自殺」や自殺を意味する表現の代わりに「死亡」「息を引き取る」などの表現を使用します。
2.具体的な自殺方法、道具、場所、動機などを報道しません。
3.自殺に関連した写真や動画は模倣自殺を引き起こす可能性があるため、留意して使用します。
4.自殺を美化したり合理化したりせず、自殺で発生する否定的な結果と自殺予防情報を提供します。
5.自殺事件を報道するときには、故人の人格と遺族の生活を尊重します。

※有名人の自殺報道をする時、この基準はさらに厳格に遵守しなければなりません。

とはいえ一口には難しい側面もある。著名人の場合は死因が隠されることで新たな憶測や不安が生まれる可能性も考えられる。また、自殺予防に関する報道が逆に「自殺するような人はわれわれとは違う」といった社会的スティグマを広げる可能性を指摘した研究もある。

韓国記者協会はこの前の2014年に「自殺報道勧告基準2.0」を発表、その後は自殺率が低下しているとしているが、勧告基準が守られていないケースも多い。