文在寅の政策運営で台湾TSMCの後塵を拝した韓国サムスン

台湾と対照的に、韓国は米中対立の先鋭化や世界的な新型コロナウイルスの感染拡大の影響にうまく対応できていない。その状況に世論は不満を募らせ、文氏の支持率は低下している。

台湾と異なり、文氏は韓国の社会と経済の長期安定にとって何が重要かを明確に理解できていなかった。国家の安定には、安全保障体制の確立が欠かせない。安全保障体制が不安定な国で、企業が長期の視点で投資などを行うことはできない。

韓国は台湾と同様に安全保障を米国に依存している。現実的に考えると、韓国は対米関係を維持・強化し、安全保障体制を安定させなければならない。その上で変化に応じて政策を見直すことが重要だ。

しかし、文氏は一貫して経済面では中国を重視し、南北の宥和と反日を進めた。その結果、韓国経済の安定を支えてきた米韓の安全保障同盟にはほころびが生じ始めた。政権発足直後に文氏が米国の高高度迎撃ミサイルシステム〔THAAD(サード)〕の配備を一部中断したのはその象徴的事例だ。

韓国の安全保障に欠かせない米国、さらには韓国が高品質の半導体材料や製造装置などを頼ってきたわが国との関係が悪化したことは、韓国企業の競争力に無視できない影響を与えた。良い例が、サムスン電子の半導体受託製造事業だ。同社の取り組みはTSMCの後塵を拝している。

サムスンの本音「日米と良好な関係を維持できていれば」

すでにTSMCは5ナノ半導体の生産を開始している。サムスン電子は5ナノの量産技術を確立したが、実際の生産は本年内に開始の予定だ。また、TSMCは2ナノなど最先端の半導体生産ラインの開発にも注力している。

韓国政府が日米と良好な関係を維持できていれば、TSMCの技術開発の加速化によりうまく対応できた可能性はある、というのがサムスン電子の偽らざる本音かもしれない。

IT先端分野を中心に秒針分歩の勢いで技術開発が進んでいる。政府が一貫した政策スタンスを確立することは企業の競争力と経済成長に無視できない影響を与える。

米国が韓国に中国向けの半導体輸出を見直すよう圧力をかけていることを考えると、文政権が中国を重視した経済運営を続けることは難しくなっている。