「会社名のない自分」を確立できているか

【50代を後悔している理由3位】組織の名前ではないアイデンティティを確立できていなかった

3位は「アイデンティティの喪失」です。

「○○銀行の大塚です」
「◎◎商事で部長をしております大塚です」

といった名刺や組織というバックボーンがなくなると、「自分にはこういう価値がある」と思えなくなってしまうのです。

とくに、財閥系と呼ばれる企業や大手有名企業出身者に多く見られます。

定年後に名刺を作り、裏に出身企業名や「元部長」などの肩書、はたまたご丁寧に出身大学・学部まで入れているシニアがいますが、これも「アイデンティティの喪失」を恐れた典型と言えるかもしれません。「会社の名刺がなくなっても消えないアイデンティティ」を確立できなかったという後悔も見え隠れします。

もちろん、独立・創業して新しい仕事を始めるさいに、名刺の裏に出身企業や出身校を入れるのは戦略的ですから、大いにやるべきと思います。

年収が下がり、モチベーションも下がった

【50代を後悔している理由2位】モチベーションがどうしても湧かなくなってしまった

2位はモチベーションの低下です。「55歳の役職定年が射程圏内に入ったとたん、モチベーションが維持できなくなった」という後悔です。

まず55歳の役職定年で年収がガクッと下がり、さらに60歳からの再雇用で新入社員並みか、時給1200円程度の待遇になる企業が多いのです。900万円から1200万の人が300万円になるといった、「4分の1」、「3分の1」あたりが、よくあるケースだと思います。

役職の高い人ほど年収の下げ幅が大きく、モチベーションが保てなくなるのです。

たとえば、54歳で年収1800万円だった本部長が、55歳の役職定年で900~1200万円程度に、さらに60歳で300万円になるイメージです。これは取締役や執行役員の一歩手前だった部長のケースですが、30年以上働いてきて、わずか数年の間に年収が6分の1になれば、誰でもモチベーションは危機に瀕するでしょう。

年収だけでなく、役職定年になったとたんに上司が年下になったり、経験やキャリアをあまり生かせない部門に異動になるのも、モチベーションダウンの原因になっています。