対処法で最も注意しなければいけないのは、熱が上がったときに解熱剤を飲んで無理やり熱を下げることです。熱が出ているということは免疫システムが活性化して、白血球がウイルスと必死に戦っている証拠。それなのに薬で熱を下げてしまったら、白血球の働きが弱まってウイルスが増殖し、その分回復が遅れることになります。

さらに怖いのが、サイトカインストーム(免疫暴走)です。ウイルスに感染すると免疫細胞がサイトカインというタンパク質を放出してウイルスを攻撃し、炎症を抑えようとします。ところが、戦いの最中に解熱剤で熱を下げてしまうと攻撃の手が緩むため、ウイルスが再び増え始める。そうすると免疫細胞はそれを感知して、さらに大量のサイトカインを出す。これがサイトカインストームです。サイトカインストームが起こると全身に炎症が生じ、コロナ肺炎では、肺の細胞が死滅しやすくなって重篤化します。だから、安易に薬で熱を下げてはいけないのです。

1918年から19年にかけて世界中で猛威を振るったスペイン風邪では、推計でおよそ5000万人が死亡しました。しかし、その死因の多くはウイルス感染そのものではなく、治療に使われた解熱剤のアスピリンの大量投与だったということが、アメリカの疫学調査で判明しています。現在でも日本ではインフルエンザ脳症で毎年多くの人が亡くなりますが、その本当の原因は薬害だと私は思っています。

ちなみに、欧米では風邪やインフルエンザで病院に行っても、薬を処方されることはありません。寝ていれば自然に治るとわかっているからです。高熱でつらいときは、扇風機や冷たいおしぼりなど物理的な手段で熱を下げてください。

健康のためのダイエット それ、間違っています

新型コロナウイルスにかからないようにと厚生労働省が推奨する対策に、マスク、手洗い、うがいなどがあります。それらは実際、感染予防にどの程度有効なのでしょうか。正直に申し上げて、残念ながらどれもあまり効果は期待できません。新型コロナウイルスの直径は0.1マイクロメートル。これでは5マイクロメートル以上の粒子しか捕捉できないサージカルマスクはほぼ無力です。

手洗いでウイルスを落としても、何かに触った瞬間に新たなウイルスが付くので焼け石に水。うがいもほとんど無意味です。だから、ウイルスを遠ざけることに神経を使うより、感染しても軽く済み免疫システムがきちんと働くように日々の生活で「免疫を下げない」ことに意識を持っていったほうが賢明といえます。

そういう意味では、いちばんやめたほうがいいのがいわゆるダイエット。日本人の多くは、太っているよりもやせているほうが健康だと思い込んでいる節がありますが、それは大間違いです。ダイエットをはじめる理由として多いのは、肥満やメタボになりたくないというものです。しかし、本当に肥満はいけないことなのでしょうか。