弱り目にたたり目とも言えるコロナショック

このように、中小企業の足腰が大変弱くなっているところに、弱り目にたたり目とも言えるコロナショックの襲撃である。

帝国データバンクは5月26日現在のコロナ関係倒産企業を184社と発表した。しかし、これから想像もできないほどの破綻が発生するであろう。

コロナ倒産は始まったばかり。恐ろしいことだがこれからが正念場である。現実に私の目の前にも、間もなくコロナのおかげで自己破産をせざるをえない中小企業が何社もある。

コロナ後に中小企業にとっては本当に厳しい経営環境が待ち受けていると思っておいた方がよいだろう。

短期的には、外出自粛によりもろに影響を受ける観光業、遊興業、飲食業などの売上が7割減、9割減、はたまたゼロになるという極端な事態を招いており、休業をやむなくさせられているケースが多い。

やがて、その影響は製造業はもとより外国人労働者に依存する農業にまで及ぼすことは火を見るよりも明らかである。

コロナで経営が傾いた経営者が今まずするべきこと

このように経営環境に大きな異変が生じたときに、社長がやることは、まず“自分自身を落ち着かせる”こと。社長が青い顔をして目もうつろになったら、部下の社員たちはもっと不安になる。社長自身も考えが集中せず、この先どのように乗り切るかの出口さえも分からなくなってくる。これが、破綻する社長の典型なのだ。

この先、自社が大変なことになるだろう、と多くの社長が思っている。しかし、ほとんどの社長は頭の中だけで、“大変になるであろうこと”を悩み、思い詰め、どうしたらよいか分からず悩んでいる。まず、このように混乱した社長の頭の中を整理することから始める。

そこで、まずは深呼吸でもして机の前に座り、おもむろに紙を出すことだ。

次に、その紙のヘッドに「オレは、コロナなんぞに負けない!」とタイトルを書く。

さて、これからは少し頭を使おう。

分かりやすい例として小ぶりの居酒屋を例に取って説明したい。

いま、会社の手元資金はいくらあるかを調べてタイトルの下に金額を書く(細かい数字はいらない。現金で10万円、預金は350万円というような粗い金額で十分)。したがって、手元資金の合計は360万円である。①手元資金=360万円と紙に書く。

次に、この先毎月いくらくらい資金が不足するかを計算しよう。この場合、思い切って休業する場合と何とか営業を続けていく場合の2通りを出してみる。

月商200万円の店なら、材料費80万円(40%)、人件費50万円、家賃を含めた固定費50万円、あとは利益というようなところが標準である。

もし、休業するのであれば、固定費50万円と店主の報酬だけあれば良いはずだ。従業員の休業補償は雇用調整助成金を使おう。

3カ月休業するとすれば、手元に360万円あるから、固定費50万円と店主の報酬30万円(これで我慢するとして)の合計80万円が必要だから3カ月後にはまだ120万円残る。

そこで、②休業の場合の3カ月後の手元資金残高=120万円 と①の下に書く。

仮に店を継続する場合を考える。売り上げが半分の100万円になったときには、材料費40万円を引いても60万円残る。ここから固定費の50万円と店主の30万円を引くと20万円不足する。でも、これが3カ月続いても手元資金は300万円も残るのだ。この売り上げだと社長一人で回す覚悟がいる。従業員はやはり雇用調整助成金の活用だ。

③継続するが売り上げが半減する場合の3カ月後の手元資金残高=300万円と②の下に書く。