睡眠で大事なのは量よりも質

心配事があると寝つきが悪くなる、という経験は誰しもあることでしょう。特に現在の新型コロナ蔓延といった非常時には、知らず知らずのうちにストレス負荷がかかっています。

特に現代人の生活において質の高い睡眠をとるための最も大きな障害は、眠る直前までスマートフォンでSNSやニュースサイトをチェックすること。これは睡眠の質を大きく下げることにつながります。健康を保つために情報を集めているはずなのに、それで免疫力を下げてしまっては本末転倒です。

睡眠不足でウイルス感染率が高まる

ただでさえ、「いつも通り」のペースが崩れている状況です。外出自粛要請によって在宅ワークに切り替わった方も多いでしょう。通勤の行き帰りに一駅分歩くことを習慣としていたような方は生活のリズムが崩れ、そのうえ体を動かす時間が極端に減って、うまく眠れなくなったということにもなりやすい。

睡眠は時間だけで測れるものではありません。「睡眠は何時間くらいとるべきですか」という質問をよく受けますが、睡眠で大事なのは量よりも質です。「疲れているはずなのにどうもよく眠れない」といった場合には、ストレスによる睡眠の質低下を疑う必要があります。

また、体の機能はすべて影響を及ぼし合っていますから、夕食の内容や時間も睡眠を左右します。夜遅くに食べて胃に食べ物が残っている状態では、寝ている間も胃や腸が動き続けることになり、安眠を妨げます。遅くとも夜8時頃までには夕飯を終えたほうがいいでしょう。

情報との付き合い方さえも、体の免疫力と関係することがおわかりいただけたと思います。これを機に日ごろから「病気に負けない免疫力の高い体づくり」を心掛けるセルフメディケーション意識を高めることが、皆さんの助けになるはずです。

(構成=梶原麻衣子 図版作成=大橋昭一)
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