しかし、無事入学できても最終的に修了できなければ意味がない。その意味でも狙い目なのが「夜間コース」だ。卒業するためには、大学学部の場合は4年間で124単位以上取得しなければならないが、大学院は2年間で30単位程度で済む。編入学や学士入学で学部に入るより、大学院に入ったほうが社会人には通いやすい。大学も社会人を狙ってか、少数だが、夜間に設定されている研究科もある。

「夜間なら、昼間働きながらでも、週2、3回と土曜日だけ通えば単位が取れて、仕事と両立しやすいのです」(宍戸氏)

早稲田のほうがチャンスが多い

その他、前述の条件に当てはまる入りやすい研究科はどこなのか。まずは早稲田。

「どちらかというと早稲田のほうが大学院を作りすぎているので、チャンスは大きいと思います。まずあげられるのが政治学研究科。そもそも政治経済学部は人気企業に就職できるので、大学卒業後、大学院に進学する人がすごく少ないし、大学院に進学したい人は前出の理由で東大を目指すので、志願者が少なく、狙い目なのです。中でも公共経営の夜間1年コースは試験科目が書類と面接なので、中高年のビジネスパーソンにはおすすめです」(赤田氏)

対する慶應はどうか。

「慶應のほうがハードルは高い印象です。それでも前出のメディアデザイン研究科など、日吉キャンパスに新設された研究科や三田キャンパスにある法学研究科の一部のコースなど、狙い目の研究科は存在します」(赤田氏)

余談だが、早稲田よりも慶應のほうがやや外部生が入りにくい傾向があるそうだ。

「慶應三田会のメンバーになることにふさわしい雰囲気の人が面接を通りやすい傾向にありますね。例えば、育ちのいい人。指導しやすいというイメージがあるため入りやすいといえます」(赤田氏)

しかしいくら入試科目が書類と面接のみとはいえ、何の対策もせずに受験して合格できるほど甘くはない。どの点に注意すればいいのだろう。

「大学院入試の場合は、研究科の志望理由や研究目的、内容、過程が重視されるので、応募書類の中の研究計画書や志望理由書、面接が非常に重要です。そのために、大学院での研究対象と自分がこれまで会社で経験してきた仕事とリンクするような研究科を選んだほうがより受かりやすくなります。例えば会社の法務部で勤務している人は法学系の研究科を受験する、などです。