テレワークを導入している企業は25%

だが、目に見えて通勤客が激減しているわけではなく、ラッシュアワーは相変わらずだ。もちろん、会社は、そう簡単に休みにするわけにもいかない、ということだろう。

ここ数年、働き方改革による多様な働き方の推奨で、テレワーク(在宅勤務)を導入する動きが広がっている。HR総研が2018年2月に行った「多様な働き方」実施状況調査(有効回答213)によると、25%の企業がテレワークを導入済みと回答している。同じ調査で、「多様な勤務時間」を導入していると答えている企業が65%で、調査の性格上、改革意欲の高い企業が回答しているとみられるが、おそらく、それ以上に「導入企業」は増えているに違いない。

今回の新型コロナウイルス対策でも、ICT(情報通信技術)系企業など、すでにテレワークが定着している企業では、「もともと本社にずっといる社員は少ないが、新型コロナウイルスの流行で、今はほとんど社員の姿を見かけなくなった」といった声も聞く。当初は、多様な働き方による生産性向上などを目指して導入されたテレワークだが、先進企業では今回のコロナウイルス蔓延にあたって、図らずも危機対応に活用されているわけだ。

伝統的な日本型組織とは相性が悪い

前出の調査で、テレワークを導入していない企業に理由を聞いている。最も多かった(38%)のが「テレワークに適した業務がない」というもの、次いで「勤怠管理が困難」(35%)、「情報漏えいが心配」(34%)などが続いた。特にメーカーでは「テレワークに適した業務がない」という声が圧倒的に多かったという。

もっとも、「適した業務がない」というのは、逆に言えば、業務をテレワークに適した形にしていない、という日本企業の働き方の問題が大きい。いわゆるジョブ・ディスクリプションが不明確で、チームで業務をこなすことが前提になっているため、事務所に集まらないと仕事にならない。伝統的な日本企業の管理系職場は、ほとんどがこうした理由でテレワークが難しくなっている。

ジョブ・ディスクリプションが明確ならば、やるべき事がはっきりしているだけでなく、誰が責任を持って決定するかも明確になる。ところが、日本型の組織の場合、延々と会議を繰り返してなかなか結論が出ない。持ち回りで役員がハンコを押し、誰が責任者か分からない。そんな「合意形成」あるいは「根回し」が必要不可欠と思われている伝統的な会社では、どうやってもテレワークは定着しないのだ。