コンビニと飲食サービスの共通点

なお、3位に飲食サービス業も入っているが、これもフランチャイズが多い分野である。私はとある飲食チェーンのフランチャイズオーナーの個人破産事件を担当した際、その現実を見た。

多額のロイヤリティを取られる上、食材も本部が提供するものを買わされる。オーナーの手元には非常に少額の金しか残らない。結局閉店することになったが、開業資金はオーナー自身が借金して用意したし、不払いとなっていたロイヤリティは保証人が払ったので、閉店に伴う本部の損失はゼロであった。

聞けば、その飲食チェーンは8割がフランチャイズであり、直営店は2割しかないという。すさまじい搾取が可能だからこそ、店を出せば出すほど儲かり、多店舗展開が可能になるのである。

店主一家が「コンビニ奴隷」になる

オーナーは多額の借金をして開店資金を捻出している場合がほとんどである。だから、途中で辞めると借金が返せなくなってしまう。また、契約書に高額の違約金条項があるので、途中で辞めるとその違約金も発生してしまう(あまりに高額なので争う余地があるとは思うが)。そして、辞めたら生活の糧を失う。

つまり、辞めたくても辞められない。その上、コンビニ会計によって本部に多額のロイヤリティを搾り取られてしまい、高い給料も出せないので、アルバイトもなかなか集まらない。そこでどうするのかというと、ひたすら自らシフトに入る羽目になる。

オーナーが自らシフトに入れば入るほど、その分人件費は削減できる。だが、1人では限界があるので、家族に手伝ってもらう。家族総出でずっとコンビニのレジに立ち続けるという状態に追い込まれていく。

このようにして追い込まれたオーナーが失踪した事件がある。2019年3月31日で閉店した「セブン‐イレブン東日本橋1丁目店」(東京都中央区)のオーナー齋藤敏雄さん(60歳)は、本部から2月末に閉店の通知を受けた後に失踪した。