漢方薬は天然で安全

病院で処方されるケミカルな薬は強くて危険だが、漢方薬なら穏やかな効き目だから安全。多くの人がこんなふうに考えているのではないでしょうか。でも、これは大きな間違いです。

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実は、漢方薬も西洋の薬と同じくらい副作用があります。医師会などで医療関係者に配られる資料には、漢方薬やサプリメントでひどい副作用を起こした例が報告されています。

そこには、例えば肝臓にいいから、と飲酒の前に飲むウコンで逆に肝臓を悪くする事例も含まれます。かつて糖尿病の神経障害に良いとされた八味地黄丸という漢方薬は、改善の効果がはっきりせず、今は使われなくなっています。ところが、いまだに勧めている漢方薬局もありますね。

また、インターネットでも、漢方や健康食品のように見せかける、植物由来や動物由来の無承認・無許可医薬品などを目にします。服用するなら、安全だという先入観を捨て、信頼できる医師に相談してください。

カロリー計算で肥満予防

「カロリーが血糖値を上げるので、太る」。日本肥満学会や日本糖尿病学会も、この考えに賛同している栄養士さんも、みんな「肥満はカロリー過剰」が正しいと信じています。多くの一般の人たちも「溜まった脂肪で肥満になるのだから、脂質は摂らないほうがいい」と考えています。

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しかし、医療雑誌「The New England Journal of Medicine」に掲載された研究では、300人以上の中度の肥満者を対象に2年間、①低脂肪食でカロリー制限、②地中海食でカロリー制限、③カロリー無制限の低炭水化物食というダイエットを行った結果、カロリー制限をまったくしなかった低炭水化物食が最も減量効果が高く、一方で脂肪を減らした低カロリー食がずば抜けて成績が悪いことがわかりました。痩せるためにはカロリー制限ではなく、糖質を減らすことが肝心。私と数名の医師が提唱する糖質制限ダイエットが注目されるようになったのは、実際に効果があるからなんです。

1日1食のファスティング

ファスティングや”プチ断食”が近年話題ですが、決して健康増進効果はありません。確かに江戸時代は1日に1食、ないし2食しか摂らない家庭が一般的でした。現代から見れば、毎日ファスティングを行っていたわけです。

しかし、当時の平均寿命は30~40歳と、極端な早死に。その後、現代にいたるまで寿命は延び続けていますが、この延びは1日のカロリー摂取量に比例しています。現代人の長生きは、医療の発達によるものではなく、栄養を過不足なく摂取できるようになったからなのです。