実は、グルコサミンが効かないことを証明したオランダの大学の研究があります。約200人の高齢女性にグルコサミンと、見た目も形も味も色も同じプラセボ(偽薬)を2年間飲んでもらい、その効果についてデータを取りました。

もし本当に効くなら、本物のデータがプラセボを上回るはずですが、双方のデータに差はありませんでした。グルコサミンとコンドロイチンを併用したデータもありますが、同様に効果は確認できませんでした。

コラーゲンでお肌がプルプル

面白い比較があります。プルプルすべすべの赤ちゃんの肌とゴワゴワの象の表皮とでは、コラーゲンが多いのはどちらだと思いますか? 答えは象です。コラーゲンとはタンパク質の一種で、主に動物の皮下組織にあるもの。牛革を使った革製品、要はバッグや靴も”コラーゲン入り”というわけです。

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チャップリンの映画「黄金狂時代」では革靴を茹でて食べるシーンがありますが、私は「コラーゲンを食べる」と聞くと、どうしてもこの映像が思い浮かんでしまいます。

「コラーゲンでお肌がプルプル」と謳った鶏、もつ、すっぽんの鍋が人気ですが、残念ながら“お肌プルプル”の効果はありません。実は、コラーゲン自体は人間の胃や腸では消化できません。では、我々が食べているあのプルプルしたものの正体は何かというと、調理の熱でコラーゲンが変化したゼラチン。そもそも、コラーゲンそのものを食べているわけではないんです。

骨粗しょう症にカルシウム剤が効く

加齢に伴い発症しやすくなる病気の1つが、骨密度が低下する骨粗しょう症です。がんや心筋梗塞などのように直接生命を脅かしはしませんが、1度発症すると頻繁に骨折し、運動不足が続き、さらに骨がもろくなる悪循環を生んでしまいます。

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ご存じのとおり、丈夫な骨をつくるのにカルシウムは欠かせません。そのため、かつては骨粗しょう症患者にカルシウム剤を処方するのが一般的でした。しかし、今では骨の代謝を活性化する新薬に切り替わっています。カルシウムを過剰に摂取すると、体内では余剰分を体外に排出しようという働きが生じ、その働きが機能しすぎると、丈夫な骨からもカルシウムを分解して尿と一緒に排出してしまい、かえって骨をもろくしてしまうことが近年の研究で明らかになったからです。

こうしたサプリメントなどよりも、魚や納豆、野菜などカルシウムを豊富に含んだ食べ物をバランス良く摂るほうが、はるかに効果的なのです。