世界経済を揺るがす軍事衝突が起こるのか

年明け早々、中東情勢の緊迫感が高まっている。

その発端は、米国がイラン革命防衛隊の精鋭“コッズ(正確にはクドゥス)部隊”のカセム・ソレイマニ司令官を空爆で殺害したことだ。1月7日にはイランがイラクにある米軍施設をミサイル攻撃するなど、不測の事態を懸念する政治や経済の専門家は多い。米国とイランの対立の歴史は長く、その経緯を踏まえて今後の展開を考える必要がある。

写真=CNP/時事通信フォト

当面の焦点は、本格的な軍事衝突が発生するか否かだ。仮に本格的な衝突があると、中東地域全体の混乱が発生することが懸念される。それに伴い、原油価格の上昇を通してインフレ懸念が台頭するなど、世界経済にとって無視できない影響が及ぶだろう。

年初の金融市場では、一時、リスクを削減する動きがみられた。その後、米国イランともに軍事的な衝突を望まないことが明言されたこともあり、とりあえず、軍事衝突のリスクがやや後退している。米国を中心に世界的に株価が反発するなど、必ずしもリスクオフ一辺倒の流れにはなっていない。中東の地政学リスクから株価が下落する場面を押し目買いのチャンスと考える市場参加者もいる。

ただし楽観は禁物だ。今後、米国とイランが報復や追加攻撃に踏み切れば、中東情勢の緊迫感は一段と高まり、世界経済の先行き不透明感はさらに増すだろう。中東情勢がどうなるかは冷静に見守る必要がある。