パワハラやセクハラは自分に自信の持てない者の「嫉妬」に由来

「伝説の経営者」とも呼ばれた米国ゼネラル・エレクトリック(GE)社を率いたジャック・ウェルチ氏は、「自信のある人間は異論を歓迎し、素直に耳を傾ける勇気を持つ」との名言を残している。裏を返せば、自分の思い通りにいかない相手を攻撃するような者は、「自分に自信のない臆病者」ということかもしれない。

したがってパワハラやセクハラの原因が、自分に自信の持てない者の「嫉妬」に由来することはよくあることだ。お釈迦さまはこのように言っている。

「勝利者が勝ち取るものは敵意である。
敗れた人は苦しんで萎縮する。
心穏やかな人は、勝敗を捨てて安らかに過ごす」(『法句経』第15章 楽しみの章 5)
――アルポムッレ・スマナサーラ著『原約「法句経」一日一話

パワハラ・セクハラをしない、されないための方法

では、パワハラ・セクハラをしない、されないためにはどうすればよいのか。

ひょっとしてあなた自身、「パワハラをしてしまう気質がある」と、自覚しているケースがあるかもしれない。そんな人は、第一に実践していただきたいのが「言葉遣い」だ。仏教用語で言い換えれば、「正しい言葉(正語=しょうご)を使う」ということ。

私たち人間にとって、言葉はコミュニケーションをとるために不可欠な要素だ。言葉は情報伝達、意思疎通などの大切な役割を果たしますが、時には使い方ひとつで相互の関係性が、崩壊してしまう。

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たとえば、新橋の居酒屋などに行けば、こういうシーンをよく見かける。上司が部下を前にして、

「おまえのこういうところがいけない」
「俺は若い頃、休みも取らずに黙々と仕事をしたもんだ」

などと、くどくどと説教を垂れるシーンをよく見かけるが、これはいけない。仮に仕事上の指導をする局面があったとしても、社内の会議室で冷静に、端的に行えばよい話だ。

もっと言えば、部下や後輩にたいして、上から目線の偉そうな言葉遣いはいけない。そういう人に限って、上役にはペコペコしているのがオチ。相手によって言葉や態度を使い分ける上司に、部下らは「ああ、この人は出世と保身のことしか考えていないんだな」などと、冷めた視線を送っていることだろう。