師弟関係の大学、同じ高校出身のライバル……人間ドラマ凝縮

▼ネタ5 各大学の監督は師弟関係の大バトル

学生長距離界は狭い世界で、指揮官では「駒澤大・大八木弘明監督と國學院大・前田康弘監督」、そして「東京国際大・大志田秀次監督と創価大・榎木和貴監督」が、それぞれ大学時代の“師弟関係”になる。

前田監督が駒大の選手時代にコーチを務めていたのが大八木監督で、前田監督が主将を務めた第76回大会(00年)で駒大は箱根駅伝で初優勝を飾っている。一方、榎木監督は中大時代に4年連続で区間賞を獲得。当時、コーチを務めていたのが大志田監督だ。榎木監督が3年時の第72回大会(96年)で中大は32年ぶりの総合優勝に輝いている。

なお、今年10月の出雲駅伝では、駒大と國學院大が最終6区で優勝争いを繰り広げた。大会前、大八木監督は、「國學院大には負けられないな」と話していたが、駒大がまさかの逆転負け。國學院大が3大駅伝で初タイトルを獲得した。

▼ネタ6 元埼玉栄の「エース」と「控え」の逆転
「箱根駅伝予選会」の個人成績(「第96回東京箱根間往復大学駅伝競走」公式ページより)

その出雲駅伝の駒大と國學院大のデッドヒート。アンカー勝負を演じたふたりも因縁の対決だった。駒大・中村大聖(たいせい)と國學院大・土方英和は、双方がチームのキャプテン。そして埼玉栄高時代のチームメイトなのだ。現在は互いに「ライバル」と認めているが、高校時代はキャリアに差があった。中村は全国高校駅伝に3年連続で出場する「レギュラー」だったが、土方は当時、貧血と故障に苦しみ、全国高校駅伝は一度も走っていない。

しかし、土方は大学で成長して、箱根駅伝に3年連続で出場。前回は花の2区を区間7位と好走している。一方、中村は大学2年まで学生駅伝に出場できなかった。それでも前回の箱根3区で4人抜きを演じると、今年3月の学生ハーフで2位。土方(4位)に先着している。そして、今夏のユニバーシアードではハーフマラソンで銀メダルを獲得した。

駒大と國學院大は箱根駅伝で「3位以内」という目標を掲げている。駒澤大・中村は1、3、4区の出場候補で、土方は2年連続の2区が濃厚。直接対決の可能性は低いが、2人の元埼玉栄チームメイトには要注目だ。

▼ネタ7 駒大には「なかむらたいせい」が2人いる

駒大には「ネタ4」で紹介した中村大聖と同じく「なかむらたいせい」と読む、4年生の中村大成という主力選手がいる。そのためチーム内では高校名で呼ばれることが多いという。埼玉栄高出身の中村大聖は「サカエ」、東北高出身の中村大成は「トウホク」となる。中村大聖によると、「藤田敦史コーチや後輩からは『サカエさん』と呼ばれていて、自分も違和感なく反応しています(笑)」とのことだ。