厚労省の判断により2021年春に介護難民があふれずにすむ

「介護保険サービスの質の向上を図るという理由から、介護をサービスする事業所の管理者は長い実務経験を持つ“主任ケアマネ”がいることを義務づける法改正が行われた(2018年)」

「しかし現状、主任ケアマネがいる事業所は5割に満たない」

「規定の移行(猶予)期間は2021年3月末までの3年間」

「“主任”の資格取得には5年以上の実務経験が必要といった高いハードルがあり、改正法が施行される時点で主任ケアマネが確保できず廃業に追い込まれる事業所が続出する可能性がある」

「その結果、ケアマネ不足が起き、介護難民が増える」

こうした懸念を厚労省は深刻に受け止めたようで、「主任ケアマネ以外が管理者である事業所は2026年までに、その要件を満たせばいい」と6年間の猶予を認めることが決まったのです。前回の記事は「2021年春に介護難民があふれる『人災』が起きるワケ」というタイトルでしたが、そうした事態はいったん回避できそうです。

一方、財務省が介護利用者の負担を重くする法改正を画策中

また、「主任ケアマネ」に次いで2021年に改正が行われると噂されていた「ケアマネの仕事に関しても利用者に負担してもらう」という規定も、この11月19日に見送られることが決まりました。

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ただ、これはあくまで先送りであり、福祉財源がひっ迫している状況下、次の介護保険法改正(2024年)では採決される可能性があります。こちらも利用者の経済的負担が重くなるのが確実な法改正。先送りによって当面は、その心配をする必要はなくなりましたが、利用者も内容を知っておいたほうがいいでしょう。

今回は、この「ケアマネの仕事に費用発生」という案件の法改正には具体的にどのような問題があるのか、介護現場で働く人たちの声を交えて検証していきます。