なぜ、日本の英語教育はダメなのか

大学入試の英語民間試験の導入が延期された。

大学入試への英語民間試験導入には、高校生からも批判が寄せられている。(PIXTA=写真)

これからの国際社会での活躍を考えるときに、英語を読む、聞くだけでなく、話す、書くを含めた「4技能」が望ましいのは言うまでもない。

その一方で、英語でコミュニケーションをする能力を、限られた時間の中で実施されるテストで測るというアプローチ自体に無理があるように思う。

諸外国では、英語における自己表現はもっと時間をかけて、たっぷりと深くやるのが常識である。

小学校に入るかどうかくらいの年齢から、自分の好きなものを持ってきてみんなの前で説明する「ショー・アンド・テル」と呼ばれる課題を行う。劇でいろいろな役を演じる「ドラマエデュケーション」も盛んだし、エッセイも自由なテーマで長い文章を書くのが普通である。

本来、学校での学習や、大学入試では、たっぷりと時間をかけて表現する中で培われ、見えてくる一人一人の個性、総合力を評価するのが望ましい。実際、諸外国ではそんなかたちを取っている。

学校での学びの本格的な変革をせず、ただ、テストの形式だけを微調整する。そのようなやり方では、もはや日本の教育を立て直すのは難しい。