9月に横浜市内の踏切で起きた快特列車の脱線事故を受け、京浜急行電鉄(京急)は再発防止策を発表した。だがこれまでの説明に誤りがあったことが判明するなど、対応は不安が残るものだった。京急の対応の問題点を、鉄道ジャーナリストの枝久保達也氏が解説する――。
写真=時事通信フォト
京浜急行線の踏切でトラックと衝突し、脱線した車両の撤去作業=2019年9月6日、横浜市神奈川区

防がねばならない事故だった

2019年9月、京浜急行電鉄(京急)本線神奈川新町―仲木戸間の踏切(横浜市)で快特列車とトラックが衝突した踏切事故では、トラックの運転手が死亡し、列車の運転士や乗客ら計77人が負傷した。

京急は11月12日、「中間報告」として現時点での再発防止策を発表したが、むしろ注目を集めたのは、これまでの説明に多くの誤りが含まれていたという点であった。

この事故をめぐる京急の説明には、警察の捜査中という点を差し引いても歯切れが悪い点が多く、対応が後手に回っている感が否めない。おそらく最大の要因は、本件が防げるはずの事故、防がねばならない事故だったという点にあるのだろう。

通行量の多い都市部の踏切には、踏切内に自動車などの支障物を感知した場合、接近する列車に停止信号を送る「踏切支障報知装置」が設置されている。停止信号は列車の停止距離よりも手前から確認できるようになっており、信号を確認した運転士は手動でブレーキを操作して列車を停止させる(一部の事業者では自動列車停止装置(ATS)等と連動して自動的に列車を停止させる)。

つまり鉄道の踏切は、踏切が鳴りだした後に自動車が進入してきた場合を除き、自動車と列車が衝突する事故が起こらないように設計されているのである。