福島県立医科大学附属病院では、腰痛の心理社会的要因の有無を確かめるため、診断には画像検査だけでなく、心理テストも併用。心理社会的要因が関わっている腰痛と考えられるケースでは、整形外科と精神科が連携した「認知行動療法」も取り入れている。

認知行動療法とは、例えば、気持ちを前向きにさせたり、趣味などの好きなことに関心を向けさせたりして、痛みとの向き合い方を変える心理療法だ。さらに理学療法士による運動療法を積極的に行う。つまり、多職種の医療スタッフが関わる集学的治療を行っている。その結果、「非器質的」とされた腰痛でも、ほとんどの症例で何らかの改善が見られるという。

整形外科と精神科が連携し、3週間治療

ただし、腰痛に対する集学的治療は、残念ながら、実施している医療機関が全国でも限られている。今のところ、保険適用になっていないのが大きな原因だ。

「当院で集学的治療を行う場合は、3週間ほどの入院が必要です。ほかの腰痛の入院治療と同じくらいの医療費(自己負担が3割の場合、21万円が目安)で行っています。

実際には、多くの検査や治療に係る費用、そして、多職種のスタッフが関わることから、医療機関のコストの負担が大きいので、普及していません。早期の保険適用が望まれますね」と、二階堂さんは力説した。

二階堂琢也(にかいどう・たくや)
福島県立医科大学医学部 整形外科学講座准教授