名刺でつながった人脈はもろい

このように、大企業の看板が外れた私が本当に困っていたときに助けてくれたのは、すべてプライベートでも親しくしている友だち、先輩・後輩たちでした。サラリーマン時代に仕事関係の人脈は広いつもりでしたが、結局は、損得勘定抜きで付き合っていた仲間だけが、自分には何の得もないのに手を差し伸べてくれたのです。

つまり、名刺交換してきた人脈ではなく、名刺でつながってこなかったご縁こそがあなたの支えになってくれるのです。

起業をしたら人脈が大切になると考え、異業種交流会に参加して名刺を何枚も集めたところで、まったく意味はありません。

また、ギブ&テイクの発想で築いた仕事関係の人脈は、あなたにギブできる力があるときには役立つでしょうが、本当に苦しいときには頼りにはなりません。調子の良いときも悪いときも長く続く人間関係というのは、お互いに見返りを求めないギブ&ギブの精神でつながっているものです。それはつまり友だちです。

50代転職は「縁故」を活用すべき

50歳を超えて転職を考えると表に出る求人の数は目に見えて減りますし、求人の内容も限られてきます。

では、50歳以上のミドル・シニアはどのように満足できる転職や再就職をしているかというと、親しい友人が経営・勤務する会社に縁故で採用されているケースが多いのです。最近は会員制交流サイト(SNS)の浸透でリファラル採用という縁故採用が20~30代で盛んになっていますが、ミドルこそ縁故採用を活用すべきです。

人生の後半戦は、仕事、プライベートを変に区分けすることなく、今までにつながってきた人たちとの間に友だちとしての人間関係を丁寧に築いていきましょう。そんな友だちが何人もいることが、あなたの第2、第3の職業人生を豊かなものにするのです。