無報酬のため、代表入りを辞退する選手もいた

山川 徹『国境を越えたスクラム ラグビー日本代表になった外国人選手たち』(中央公論新社)

アマチュア時代、日本代表の試合は無報酬だった。そんな試合でケガをしたくないと考えたのか。負けると分かっている海外の強豪相手に試合したくないと思ったのか。代表入りを辞退する選手や、代表に招集されると明らかにパフォーマンスを落とす選手がいたのである。

廣瀬たちは、そんな空気を変えて、日本代表を「憧れの存在」にするため、地道な取り組みをはじめる。

たとえば、海外遠征で使用したロッカールームは立ち去る前に自分たちで清掃する。あるいは子どもたちからサインを求められたらできるだけ丁寧に書いて「ありがとう」と声をかける。そうした態度がチームを「憧れの存在」とする第一歩だと考えたのだ。

さらに、日本でプレーするすべての選手たちと、日本代表をつなぐ仕掛けをつくった。

「日本代表は、日本のラグビーにかかわるすべての人の代表なんだ」

2015年のW杯イングランド大会初戦前夜。日本代表が滞在するホテルに、日本のトップリーグ全チームから応援メッセージが届いた。

廣瀬がトップリーグの各チームに依頼して、製作した映像だった。

「あの映像には2つの意味があった」と廣瀬は言う。

「1つ目が日本代表メンバーたちに、日本で戦ってきたトップリーグの選手たちが応援しているとを実感してもらうこと。2つ目が日本に残るトップリーグの選手たちに、自分たちの代表だと感じてもらうこと。自分たち日本代表は、日本のラグビーにかかわるすべての人の代表なんだと実感する必要があったんです」