中級店で多く使われる「銘柄鶏」

1990年代に数多くの店が生まれた高級焼き鳥店は、その弟子筋の店がオープンするなどして、今も増え続けている。加えて、客単価5000円前後の「中級店」の市場が膨らんでいる。そうした店で使用されているのが、「銘柄鶏」だ。最近では、比較的低価格の焼き鳥チェーンでも銘柄鶏を使用しているケースが少なくない。

銘柄鶏は、価格でいえば、ブロイラーと地鶏の間。地鶏に比べると規格もだいぶ緩く、品種についてはブロイラーと同等でも構わないうえ、「通常と異なる飼育方法」であればいい。したがって、「○○鶏」というもっともらしいネーミングであっても、「大山どり」のように誰もが品質を認めるものから、ブロイラーと大差がないものまであるので、まどわされないようにしたい。

将来的に焼き鳥は塩が主流になるかもしれない

こうした店でも高級店と同様に、タレ焼きよりも塩焼きを押しているケースが目立つ。したがって、日本の焼き鳥はタレから塩へと徐々にシフトしているといえ、将来的には焼き鳥は塩焼きで食べるほうがポピュラーになるかもしれない。

ただ、いくら鶏肉がおいしくなったからといって、絶対に塩焼きで食べないといけないという理由があるわけでもない。タレにはタレの魅力があるのだから、先入観にとらわれず、自分の好きなように食べるのがいちばんということである。

そのうえで蛇足であることを覚悟して、最後に筆者の焼き鳥の味つけについての見解を(というほどのものでもないが)。それは、「飲みものに合わせる」という考え方である。なんといっても、焼き鳥は酒のつまみだからだ。1杯目のビールに合わせるならば、香ばしい風味のタレ焼きである。部位はももやねぎま、かわ、つくね、レバーあたり。飲み(食べ)すすめていって、レモンサワーや日本酒なんかにアルコールを切り替えたら、それに合わせて焼き鳥もさっぱり食べられる塩焼きにスイッチする。いかがだろうか?

※参考文献『やきとり 11店の技術と串バリエーション』(柴田書店)

【関連記事】
コンビニの「サラダチキン」を食べるバカ
美味いラーメン屋が「二郎」に負ける理由
スシローと差「くら寿司」一人負けの理由
イタリア人が日本で必ずイタ飯を食べる訳
富裕層は「スマホ」と「コーヒー」に目もくれない