吉本の幹部は、世の常識とは違う常識で生きている

ここまで来たら岡本社長の辞任は避けられないだろう。宮迫、田村亮を含め、反社の忘年会に出てギャラをもらった芸人たちは、少なくとも半年から1年は謹慎処分にすべきだと思う。

だが、吉本の全権を握っているのは、大崎洋会長であることは間違いない。岡本社長は大崎の傀儡である。大崎会長の責任を問わない限り、吉本興業は変わらない。

『週刊新潮』(7/25号)の「『吉本・大崎社長』が明かす『闇営業』の核心」で、大崎が縷々述べているが、この御仁も、世の常識とは違う常識で生きているようだ。

大崎が社長になった時点で、役員や社内にも「反社のような人たちがいた」(大崎)が、そいつらを命がけで追い出し、近代化をしたと語っている。

しばらく前に、中田カウスと暴力団との関係が取り沙汰されたが、大崎は、「07年当時、吉本はカウスさん本人を含め関係者の聴取を行って問題はないと判断しました」といっている。だが、私には疑問だ。それに、その後も島田紳助と暴力団員との親しい関係も明るみに出ているではないか。

6000人もの芸人を抱える構造そのものに無理がある

大崎は、僕が社長になってからはコンプライアンスを強化してきたと主張するが、「『直の営業』については、基本的に、自由にさせてきた」という。だが、この直営業が今回のように、詐欺集団や暴力団に付け込まれる“スキ”になっているのだ。

直営業に走るのは、吉本9対芸人1ともいわれるギャラの配分や、賃金の安さにあるのに大崎は、「『最低賃金を保障しては』という議論があります。しかし、全員に払っていたら会社が潰れてしまう」と抗弁するのだ。

大崎が700人程度だった所属芸人を6000人まで増やしたといわれる。ひとつの事務所が6000人もの芸人を抱える構造そのものに無理がある。だが、大崎はそうは思わないらしい。

吉本が持っている劇場が日本に17あり、NSC(吉本総合芸能学院)を出たらすぐに舞台に立つことができるから、「プロの舞台に立ったのなら、たとえ1円でも250円でも払うというのが会社の考え方です」という。

きょうび250円もらっても子ども喜ばない。まして、結婚してたり子どもでもいたら、どうやって生きろというのか。

吉本興業には昔、「社員は虫けら、芸人は○○(今は差別語なので割愛)」という考えが、経営者にはあったといわれる。その“伝統”は今も受け継がれ、芸人をタレントとは考えずに消耗品と考えているのではないか。