「防衛省や自衛隊は日本の縮図だと思う」

一般的に、海軍ではすべての判断が艦長に委ねられるため、事実を寸分たがわず報告することを隊員に徹底させる文化がある。いわば、戦艦の1つの部品になることが求められるわけだ。

伊藤祐靖『自衛隊失格』(新潮社)

一方、「不審船に乗り込んで拉致されている日本人を奪還するために創設された特殊部隊では、現場で判断して自己責任で行動することも必要。これがネイビーとアーミーの文化の大きな違いです。ですから、最初は特殊部隊に入ってきた隊員の意識改革に苦労しました」。

自分を押し殺し、上位者の指示に黙々と従おうとする傾向が強いのは自衛官に限らないだろう。「防衛省や自衛隊は日本の縮図だと思います。この本を読んで、こんなことが起きてしまう組織なんだって思いつつ、似たような経験があるという人も多いのではないでしょうか」。

伊藤祐靖
1964年生まれ。日本体育大学から海上自衛隊へ入隊。海上自衛隊「特別警備隊」創設に携わる。2007年、2等海佐の42歳のときに退官。
(撮影=榊 智朗)
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