付属中学校への内部進学できる7割に入るよう1年生から通塾も

双子を公立小と国立小に通わせているある母親は、「宿題がまったくなく、教科書どおりに進まない国立よりも、むしろ公立のほうがしっかり勉強させてくれています」と言う。

また、付属の中学や高校への内部進学には定員があり、全員が上がれないというのも国立小学校の特徴だ。

とある国立小学校の例だが、付属中学校に内部進学できるのは全体の7割。残りの3割に入らないよう、1年生から通塾させる家庭が多いという。また、内部進学できたとしても、中学受験で入学してくる偏差値の高い生徒と、今度は高校進学を競うことになる。そのあたりの覚悟が、国立小学校受験には必要なようだ。

そして、わが子を受験させる親としてもっとも頭が痛いのは、国立小学校受験には抽選があるということ。せっかく受験準備をしても努力が必ず報われるというわけではなく、私立を併願しないかぎり、抽選に外れれば公立に行くことになる。このあたりのリスクも十分に頭に入れておく必要がありそうだ。

プレジデントFamily別冊『日本一わかりやすい小学校受験大百科2020完全保存版』(プレジデント社)より。

学校が求める「話を聞ける子」「やりぬく子」「ルール守る子」

前出の武田室長は、国立小学校が求める子供像についてこう語る。

「結局、私立も国立も求めている子供のタイプは同じ。『人の話をきちんと聞ける』『集中力があり、最後まであきらめずに物事をやりぬける』『TPOをわきまえ、ルールを守れる』といったポイントが評価されます」

加えて「人の目を見て挨拶ができる」「待てる」「人に迷惑をかけない」「社会性がある」「自主性・積極性がある」「好奇心旺盛」なども合格のポイントだ。

国立小学校は教育実験校であるため、新しい教育方法を実験的に行い、児童の反応を見る必要がある。そのため積極的に授業に参加し、手を挙げて発言する児童が望ましい。

また、教育大学からやってくる教育実習生も多いので、指導力不足の若い実習生の話も静かに聞ける子供でなければならない。時間をかけて電車通学する場合、公共交通機関内でのルールやマナーを守る力も必要だ。

「人前できちんと話せる力も必要ですね。参観者の多い研究授業で発表する機会も多いですし、電車の中で突発的な出来事が起こったときに、ちゃんと対応できる力にもつながります。ただ、ご家庭でこういうことをしっかりとしつけられている子供だとしても、そこは5歳、6歳のお子さんですから、試験会場の雰囲気にのみ込まれてしまうこともあります。場慣れするには練習も必要です」