「食べ放題離れ」が起きると厳しくなる

最近ではさまざまな料理を少量で食べられるフードコートのような飲食店や、小さなお店が集まった横丁スタイルのお店も登場している。“好きな料理を選んで食べる”というのはビュッフェ形式に限ったわけではない。少子高齢化で「そこまでおなかいっぱいに食べたくない」という客層は増えており、ビュッフェ形式の割高感に気づいた消費者が“食べ放題離れ”を引き起こせば、ビジネスモデルそのものが厳しくなっていくことも考えられる。

実際、東京国際フォーラム店で食事をさせてもらったのだが、席に案内されたまま放置されてしまい、そのままサラダバーに行っていいのか、それとも何か注文をしてから行くべきなのか分からず、しばらく待たされる形になってしまった。店員を呼ぼうとしたが店内が広すぎて、なかなかスタッフに気づいてもらえない。

グリル料理も味には満足したものの、混んでいることもあって料理が出てくるのに30分近くかかり、チーズトーストも「5分後にお持ちします」と言われたのに、結局、出てきたのはグリル料理と同時だった。オープンして2カ月弱なのでまだスタッフが不慣れだという事情はあるかもしれないが、もう少しサービスの質は向上させたほうがいいと思った。

サービス面が手薄になってしまうのが弱点

ビュッフェは高い利益率を出すビジネスモデルではあるが、人件費を抑えた仕組みのために、どうしてもサービス面は手薄になってしまうところがある。おいしい料理を出して、利益率の高いビジネスモデルだとしても、最終的には「もう一度、あの店に行ってみたい」という思いが生まれなければ飲食店の商売は成立しない。そのような不満もあって少し辛口のリポートになってしまったところもあるが、シズラーのサラダバーと肉料理は絶品であることは保証する。

今後、取引先に「シズラーって知っている?」と言われたときに、私みたいに「静岡県が好きな人ですか?」とバカなことを言って恥をかきたなくなければ、ぜひ、東京に出張で行った際はシズラーに立ち寄ってもらいたい。その際はおいしすぎるチーズトーストの食べ過ぎにはご注意を。

竹内 謙礼(たけうち・けんれい)
有限会社いろは代表取締役
大企業、中小企業問わず、販促戦略立案、新規事業、起業アドバイスを行う経営コンサルタント。大学卒業後、雑誌編集者を経て観光牧場の企画広報に携わる。現在は雑誌や新聞に連載を持つ傍ら、全国の商工会議所や企業等でセミナー活動を行い、「タケウチ商売繁盛研究会」の主宰として、多くの経営者や起業家に対して低料金の会員制コンサルティング事業を積極的に行っている。著書に『売り上げがドカンとあがるキャッチコピーの作り方』(日本経済新聞社)、『御社のホームページがダメな理由』(中経出版)ほか多数。
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