アマゾンが模索する「無人コンビニ」の仕組み

中国ではQRコードが主流だが、現在、多少のコストはかかるが、RFID(ICタグなどから電波を介して情報を読み取る非接触型の自動認識技術)も主流になりつつある。タグなどに埋め込まれたICチップを介して、商品情報が瞬時に読み取れるため、カゴから商品を出す手間も省けるシステムだ。

有人、無人に関わらず、広く導入が進んでおり、ユニクロでも採り入れられている。ユニクロも、無人店舗の形態を探っているのかもしれない。

これに対して、アマゾンは画像認識の技術だけを使い、「Amazon Go(アマゾン・ゴー)」という無人コンビニを実現させようとしている。要するに、店内に設置された複数のカメラやセンサーが客の行動を追跡し続け、どの商品をバッグに入れたか、戻したかなどを解析。客はレジでの決済をすることなく、そのまま店舗から出れば、後にクレジット決済される仕組みだ。

スマホをかざすのは入店時のみ。いずれは顔認証などで、入店時にスマホをかざす手間もなくなるかもしれない。

無人コンビニ実現を阻む「防犯」という課題

もちろん、どちらの方式であれ、AIによるリコメンド機能はより強化されるだろう。ネットショッピング同様、客のデータはどんどん蓄積され、リアル店舗においても、その人に向けて、時々のオススメ商品をスマホなどに提示してくることになるだろう。

2018年秋、日本でも赤羽駅のホームに、無人コンビニが実証実験の一環として期間限定で設置された。こちらもAIによる画像認識技術が駆使され、客は入り口と決済時に電子マネーをかざし、利用する仕組みだ。販売員不足への対応と、採算性が厳しくなっているキオスクの再生が目的というが、利便性は高く、普及していく可能性は高い。

しかし、いずれも防犯という点ではまだクリアできていない課題が多く、利用に際してさまざまな制限がある。

万引きを検知するのは、実はけっこう難しい。というのも、ディープラーニングするための「教師データ」の量が、足りないのだ。

それはそうだろう。万引きの実例を集めるには、うまくいった万引きを大量に再現しなければいけない。でも、どうやって? 人の目をすり抜けるような巧妙な手口を、いかにして再現すればいいのか?