放送開始から3カ月で売り上げが急増

アニメ本編では、まず主役ロボットであるE5が登場し、他の機体が登場してリンク合体した。加えて初年度のゴールデンウィークにはN700Aのぞみが登場し、機体自体が第二段階にパワーアップする機構を見せる。さらに夏にはライバルであるブラックシンカリオンが登場。「敵味方のおもちゃを戦わせる」という形で、段階を追って遊び方のプレゼンテーションを行った。

1月の放送開始からアニメはネットで話題となっていたが、おもちゃ自体は3月まで社内では爆発的な売れ行きというほどではなかったという。しかし4月に入ってから売り上げが急増、さらにゴールデンウィークに登場したN700Aは品切れが続出するヒット作となった。

「なぜ4月に売り上げが伸びたかというと、子供たちが幼稚園や小学校という、新しいコミュニティに一斉に移る時期だったからだろうと分析しています。それまでは各家庭でアニメやおもちゃに触れていた子供が、新たな環境で他の友達に『シンカリオン』の話をしたりおもちゃで遊んだりして、そこで一気に広まった。それに合わせて、ゴールデンウィークに強力な新型機をぶつけました」

「DXS11 シンカリオン ドクターイエロー」(画像提供=タカラトミー)

主役以外のロボットもよく売れている

「もちろん売り上げで言えば主役のE5がナンバーワンなのですが、他の機体だとN700Aとブラックシンカリオン、それからクリスマスに合わせて発売したドクターイエローもいい成績を出しています。ブラックシンカリオンは、初速だけであればE5を抜いています。敵のロボットなので、実は売れるかどうか社内の反応は半信半疑だったんです。だから付属品をたくさんつけて、機能も盛りだくさんにしました。購入者アンケートでは子供用に購入していただいたパターンが大半で、やはり子供自身が『欲しい』ということで売れたのだと思います」

「シンカリオン」最大の強みは「完全に架空のロボットではないこと」だという。完全に架空のSF的な世界観をモチーフとしている題材は、長期間の展開に耐えづらい。

「子供は想像力が育ちきっていないので、100%架空のストーリーやメカには乗り切れないんです。出だしはよくても徐々に失速して、如実に数字に出ます。やっぱり実在のメカの要素が入っていたほうがいい」