ビデオゲームを使った競技「eスポーツ」が世界中で盛り上がっている。世界全体の競技人口は1億人以上、市場規模は1000億円を超えつつある。しかし日本大会の市場規模は5億円未満と少ない。自身がプロゲーマー(eスポーツプレイヤー)でもある野村総合研究所の隈部大地氏は「日本でプロの競技者を育てていくためには、賞金以外にもクリアすべき点が複数ある」と指摘する――。

※本稿は、野村総合研究所『ITナビゲーター2019年版』(東洋経済新報社)の一部を再編集したものです。

eスポーツがオリンピック種目になる日も近い。(※写真はイメージです 写真=iStock.com/imagedepotpro)

トップクラスの大会では賞金も億単位に

「eスポーツ」とは、ビデオゲームを使った対戦をスポーツ競技として捉える際の名称だ。近年、このeスポーツが世界中で大きな盛り上がりを見せている。eスポーツの競技人口は既に1億人を超えるとも言われており、トップクラスの大会では、その賞金も億単位に達している。

2018年のアジア競技大会(ジャカルタ)では、デモンストレーション種目としてeスポーツが採用され、日本からも10名の代表選手が派遣された。2022年大会(杭州)では、正式にメダル種目として採用されることが決まっている。また、2024年に開催されるパリオリンピック・パラリンピックの新種目としてもeスポーツの採用が検討されており、今世界中で盛り上がりを見せている。

市場も爆発的に拡大しており、オランダの調査会社Newzooによれば、2018年には世界全体で約1000億円に達し、2021年には1800億円超に達するとされている(図表1)。その内訳は、全体の約6割が広告・スポンサー収入であり、各企業からの関心の高さが伺える。