AIでは現地の人と仲良くなれない

イーオン社長の三宅義和氏

【三宅】AIがその変化に追いつき、さらに判別ができるのかという話ですね。

【茂木】AIにはできないです。なぜなら仲間じゃないから。言葉というものは生きている人同士がしゃべっているから言葉なので、やはり自分がしゃべらないと仲間にはなれません。だからAIが出て来ても英語学習の必要性がなくなるということは絶対にないと思います。観光とか、ちょっとしたビジネスのやり取りはラクになるでしょうが、現地の人と仲間になれるわけではありません。

【三宅】なるほど、よくわかりました。茂木さんの場合は「AIに学ぶ英語学習」ということをおっしゃっていますが、これはどういうことでしょう?

【茂木】AI(人工知能)は、そもそも人間の脳の学習則を参考にして作られています。学習則は2つあって、「パターン学習」と「強化学習」です。「パターン学習」とは、とにかくお手本をたくさん聞いたり読んだりしてパターンを学習すること。「強化学習」とはいまの自分にはできないことにチャレンジすること。できなかったことができるとうれしくてドーパミンが出て、報酬系がどんどん活性化してシナプス結合が強くなるんですね。

AIはこの「パターン学習」と「強化学習」をひたすら地道にやってすごいところまで行くのですが、肝心の、本家本元の人間が「パターン学習」と「強化学習」を十分にやっていない。だから英語を学びたいなら、それをちゃんとしましょうね、という話です。

英語で「パターン学習」というのは、とにかくたくさん英語に接することですよね。リスニングでもリーディングでも。そのことによってだんだんパターンがわかってくる。「強化学習」のほうは自分ができないこと、例えば話すのが苦手なのであればとにかく無茶ぶりしてやると。できるようになるとうれしいですよね。

これをただやるだけで、どんな人でも英語はうまくなるはずなんですね。やはり王道は地道にただやるだけだと思います。

「ある日、英語力は突然ヒューンと伸びる」という事実

【三宅】努力は裏切らないというということですね。

【茂木】僕はよくサイレント・ピリオド(沈黙期間)という話をするんですけど、日本人の子どもが親の転勤などで海外の学校に放り込まれると、半年くらいはしゃべれないですけど、サイレント・ピリオドを突破すると突然、何を言っているか理解できるようになったり、しゃべれるようになったりするんですね。

本人はあまり成長していないように感じたとしても、その半年間はしっかり「パターン学習」をしているわけです。先生の話を聞いたり、クラスメートの会話を聞いたり、テレビを見たり、ラジオを聞いたりすることで。

だから英会話の勉強をはじめるときに大事なことは、最初のうちは努力と結果が比例の関係にあると思わないことじゃないですかね。自分の成長が感じられないときは「いまはサイレント・ピリオドなんだ。パターン学習をしている最中なんだ」と思って努力を続けたら、ある日、ヒューンと突然伸びるわけですから。