【田原】そして大学は東大の理科一類に入る。起業するなら行く必要なかったと思うけど、どうして東大に?

AppBrew 代表取締役 深澤雄太氏

【深澤】うーん、それは流されたというか。当時は、将来的に何をやっていったらいいかがよくわかってなかったんです。まわりが東大に行くので、僕もそのまま行っておこうかと。

【田原】理一を選んだのは?

【深澤】もともとものづくりは好きだったので。数字とか理論が学べるところがいいだろうと思いました。

【田原】東大に入って、東大無料塾をつくったそうですね。これはどういうものですか?

【深澤】高校生を相手に、無料で授業を行う塾です。既存の教育で教えられない指導要領外のものを自分の興味に従って学べる場所をつくりたくて、1年生の8月につくりました。

【田原】既存の教育で教えられないものって何ですか? 具体的には。

【深澤】たとえばプログラミングですね。生徒がウェブサービスをつくりたいと思ったら、それができるように教えてあげる。べつにプログラミングに限らなくて、とにかく共創的な教育の場をつくりたかったんです。

【田原】生徒や先生は何人くらい集まったんですか?

【深澤】生徒は50人です。教えるのは東大生のボランティアで、10人くらいいました。

【田原】週に何回くらいやるわけ?

【深澤】いちおう、毎日営業していました。全員が毎日来るわけではなくて、自習室的な使い方で生徒が来ていました。

【田原】うまくいきましたか?

【深澤】いえ。高校生側は大学に入るための勉強をしたかったようで、補習塾のようになってしまいました。それは僕たちがやりたかったことと違う。理想と現実がバラバラになってしまったので、半年後の3月くらいに解散しました。

【田原】そうですか。ギャップを埋める方法はなかったのかな。

【深澤】塾を生徒のニーズを満たすものにするのか、あるいは逆に生徒たちをガラッと変えるのか。どちらかだと思いますが、無料塾という運営形態のままで、そのどちらかができるという気がしませんでした。

【田原】その後、freeeというベンチャー企業でエンジニアをやる。freeeの佐々木大輔社長とは、この連載で対談をしました。そこでは何を?

【深澤】中小企業などのスモールビジネス向けにクラウドの会計ソフトをつくっている会社で、僕は仕分けをするフォームだったり、ユーザーインターフェースをつくっていました。2013年から15年にかけて、合計で1年半くらい働きました。

【田原】その間、大学には?

【深澤】全然行ってなかったです。無料塾のときからそうだったので、東大生といっても名ばかりですね。