家族マネー会議では相手のムダ使いへの非難合戦に

私は、まずは夫婦、その次にお子さんを巻き込んで、お金の話をすることをお勧めしました。いわゆる「家族マネー会議」です。月に一度みんなでお金の話をして、使い道や貯蓄できた額などを共有するのです。話し合いをすると、お互いの価値観がわかり、支出の良しあしを判断しやすくなります。また、家族としてのお金の使い方、貯める額などの目標も共有できます。

進め方は、以下の流れで始めてもらいました。

(1)今月の収入と支出、貯蓄額をお互いに発表する
(2)支出について、お互いに意見を述べ、「必要な支出」と「必要でない支出」を選別する
(3)「必要でない支出」のうち、来月から買わないようにするものを決める
(4)こづかいで購入するのが難しい、あるいは家計から購入してほしいものは、その必要性をプレゼンして、家族みんなの同意を得る。(得られない場合は購入できない)

※写真はイメージです(写真=iStock.com/LeoPatrizi)

1回目の「家族マネー会議」で、それぞれの支出を発表したところ、最初は「ママ友とのランチ、多すぎるだろう」「洋服はバーゲンで買いなさいよ」と、相手の支出に目が行きました。ただ次第に、自分でも「このお金の使い方はちょっとな」と思えるようになり、支出の仕方を意識するようになったそうです。

毎日のように支出がある食費や日用品は、何にいくら使っているのか把握しにくいため、支出の記録をつけることにしました。記録をつけてみると、「コンビニでつい買っていたお菓子」や「デパートで、予定にないのに買ってしまったお総菜」など、「必要でないもの」への出費も少しずつわかってきました。気になった支出は、過剰にならないように意識し、回数を減らしました。また、記録をつけることで使途不明金が減りました。

「妻の教育費」として家計簿上では計上されている、ヨガや料理の教室(月謝計1万円)はママ友のお付き合い程度で通っていたので、やめました。同じように半ば見栄で通っていた夫のジム(月8000円)もほとんど幽霊会員だったので、退会しました。

月8万5000円もあった赤字が、7万4000円の黒字に転換

また、例の夫の「ネットショッピング代」(月2万4000円)は通常の日用品代で払うことにして、個人的なネットショッピングは5万円のこづかいの範囲内で使うルールにしました。

特に強く節約を促しているわけではないのですが、家族マネー会議などでお金の使い方について考えることで、ご夫婦のお金に対する意識が変わり、月のコスト削減額はなんと16万円以上。もともと月8万5000円もあった赤字が、7万4000円の黒字に転換しました。ボーナスからも毎回50万円以上貯金でき、年間では200万円近く貯蓄できる算段がつきました。

丸山さんのご家庭は、信頼しあっているつもりで、すれ違いであったため、家計管理がうまくいっていませんでした。話し合うことで、互いに大切にしていること、家族のために大切にすべきことと我慢すべきことなどもわかったようです。家族としてどうお金を使っていくべきなのか、どうするとそれぞれの希望をかなえながら効果的なお金の使い方ができるのか。それらを考えるきっかけになりました。

最近は、丸山家のようにすれ違いの家族も増えているように感じます。夫婦それぞれが違う方向を向いてお金を使っていると、無駄が生じやすいものです。収入には限りがありますから、あっという間に足りなくなります。

家族間で風通しをよくして、みんなで考えながらお金を使う。これが一番効率がよいやりくりの仕方だと思います。